2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of rotavirus interspecies transmission mechanism in Nepal and the role of adults in rotavirus circulation.
Project/Area Number |
19KK0245
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
新 竜一郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (90452846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 華子 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40742771)
高月 英恵 宮崎大学, 医学部, 助教 (80773978)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | ロタウイルス / 成人下痢症 / 種間伝播 / ネパール / 分子疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロタウイルス(RVA)は、11本の二本鎖RNA遺伝子分節を持ち、ヒト小児および動物若年個体における下痢症の主な原因となり、成人においてもときに急性下痢症を引き起こす。ロタウイルスゲノムには多様性があり、特に遺伝子分節の再集合(genetic reassortant)によって大きく変化する。また、動物のロタウイルスがヒトに感染(種間伝播)することが稀に起こることが知られている。その場合でも通常はヒトに適応して増殖することはほとんどないと考えられているが、ヒトのロタウイルスとの間で遺伝子分節を交換し、genetic reassortantとしてヒトに適合して生存しているウイルスの存在が示唆されている。我々はネパールの成人下痢症患者における分子疫学調査を行ったところ、世界的に珍しいG11P [25]株を同定した。系統樹解析によりG11P[25]株は、9つの遺伝子分節がブタもしくは未同定の動物RVA由来であることが明らかとなった。これは未知の動物RVA株が宿主種障壁を越えたことを示す。この結果を受けて本研究はネパールにおける①種間伝播メカニズム、②動物RVAのヒトRVAへの順応の過程、③種間伝播における成人の役割を明らかにすることを目的とする。本年度の研究実績としては、日本とネパールで関係者と二度の打ち合わせを行い、ネパール熱帯感染症病院(Sukraraj Tropical and Infectious Diseases Hospital)および、パタン病院(Patan Academy of Health sciences)の二つの病院にて成人下痢症患者から便検体を採取するための体制を整えた。現在、Nepal Health Research Councilへの倫理承諾及び研究許可のための申請を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である本年度にすでに日本とネパールの2度にわたり、研究打ち合わせを行い、ネパールにおける研究環境と今後の研究を進めるための準備を行うことができた。特に、熱帯感染症病院およびパタン病院の二つの病院にて成人下痢症患者から便検体を採取するための体制を整えることができたことは今後の研究を進める上で重要な進捗であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ネパールにおけるヒト便検体採取体制は整えられたが、動物ロタウイルス監視体制は現地の獣医師会と調整中である。動物ロタウイルスのヒトロタウイルスへの馴化過程を解明するためにはヒトおよび動物ロタウイルスの同時監視が必要であるため、早急に検体採取体制を整える予定である。 ネパールは現在名古屋議定書に批准していないが、ネパール国内法によって海外への検体の持ち出しを制限している。生物資源にアクセスするためのネパール国内法及び各種手続きを行った後、日本でしか行えない解析のため、検体を日本に輸送することを想定している。
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Causes of Carryover |
本年度は初年度であり、共同研究先であるネパールの熱帯感染症病院およびパタン病院の二つの病院との打ち合わせと今後の準備態勢の構築がメインであり、本格的な研究活動を次年度以降となるため。
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