2021 Fiscal Year Research-status Report
南米チリにおける大気汚染とバイオエアロゾルの統合解析による健康影響評価基盤の構築
Project/Area Number |
19KK0263
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田中 大祐 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (40360804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒徳 昭宏 富山大学, 学術研究部理学系, 講師 (20713142)
藤吉 奏 広島大学, 学術・社会連携室, 助教 (20805808)
丸山 史人 広島大学, 学術・社会連携室, 教授 (30423122)
能田 淳 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (70551670)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | チリ / バイオエアロゾル / モニタリング / 細菌 / メタゲノム解析 / 大気汚染物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では南米チリの大気における病原性を持つ微生物に着目し,その地域性,経時的な種や量等の動態の把握,大気汚染物質との関連,また大気汚染物質による微生物保護作用の把握を目指している。2021年度は,大気微生物と大気汚染の関連などについて,大気試料のサンプリングを6月~10月にラ・フロンテラ大学(テムコ)にて実施してもらった。また,培養法で単離した微生物のゲノム解析や大気汚染物質が持つ微生物への保護作用を検証するために,菌株を日本に移動させる素材移転契約(Material Transfer Agreement: MTA)を締結した。2022年度に,大気試料や菌株をチリから日本に輸送してもらい,解析を進める予定である。一方,チリのオソルノでは大気汚染が深刻な問題になっているので,PM2.5に含まれる化学組成を分析し、気象条件と比較することにより、PM2.5の発生源について考察した成果を,原著論文として発表した(Nakamura et al., Atmosphere, 2022)。さらに,ヒノキ材が空中浮遊微生物に対して抗菌効果を持っていることを示唆する研究結果を,原著論文として発表した(Tanaka et al., Diversity, 2021)。この論文は,チリのカウンターパートの研究者もゲストエディターをされていた特集号に掲載された。さらに,英国やスペインの研究者らとも国際共同研究を開始して,バイオエアロゾル研究の国際的なネットワークの強化が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより出入国が制限されたことが影響し,国内研究者5名全員がチリに渡航できなかった。しかし,ラ・フロンテラ大学(テムコ)やロスラゴス大学(オソルノ)には,サンプリングをしてもらい,前述のように一部の大気試料の化学組成を調べて原著論文も発表できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,ラ・フロンテラ大学(テムコ)から大気試料や菌株が輸送されてきたら,高速シークエンサーを用いたメタゲノム解析や菌の同定を進める。また,ゲノム解析や大気汚染物質が持つ微生物への保護作用を検証する予定である。さらに,マガジャネス大学(プンタアレーナス)の研究者にも今後サンプリングをしてもらう予定である。研究期間を1年延長することとしたが,さらに継続的に研究を進めることで,大気汚染物質が微生物の環境ストレス耐性の向上に及ぼす効果の解明を目指したいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより,国内外の移動が制限され,サンプリングが遅れたため。また,菌株を日本に移動させるためのMTAも締結できたので,チリから試料が輸送され次第,国内での解析を開始する。現在,研究期間を1年延長して使用することとした。状況に応じて,現地でのさらなるサンプリングや国際共同研究会の実施を計画している。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Characteristics of PM2.5 Pollution in Osorno, Chile: Ion Chromatography and Meteorological Data Analyses2022
Author(s)
Nakamura, A., Nakatani, N., Maruyama, F., Fujiyoshi, S., Marquez-Reyes, R., Fernandez, R., Noda, J.
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Journal Title
Atmosphere
Volume: 13
Pages: 168~168
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Impact of Hinoki Cypress Wood on Diversity of Microflora: A Case Study from Owase City Hall2021
Author(s)
Tanaka, D., Uei, D., Matsui, J., Matsunaga, M., Morimoto, M., Maruyama, F.
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Journal Title
Diversity
Volume: 13
Pages: 473~473
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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