2019 Fiscal Year Research-status Report
植生-エアロゾル-気候間の相互作用解明に向けた欧州北方林エアロゾルの吸湿性解析
Project/Area Number |
19KK0265
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
持田 陸宏 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (10333642)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大畑 祥 名古屋大学, 高等研究院(宇宙), 助教 (70796250)
松井 仁志 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (50549508)
|
Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
|
Keywords | 有機エアロゾル / 吸湿性 / 森林 / 気候 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フィンランドのヒューティアラ森林フィールドステーションにおいて大気エアロゾルの採取を行い、その化学組成と吸湿性を解析することで、植生由来の揮発性有機化合物から生成する生物起源二次有機エアロゾル(BSOA)の吸湿性や全エアロゾルの吸湿性に対するBSOAの寄与を定量すること、さらにはBSOAの放射収支への影響の評価や、BSOAが気候、ひいては陸域植生に及ぼすフィードバックを考察することを目標としている。エアロゾルの吸湿性の情報から放射収支への影響を議論する上では、エアロゾルに含まれる界面活性物質による粒子表面張力の低下が雲凝結核能力に及ぼす影響が考慮の対象となり、今年度、国内(名古屋)で採取された大気エアロゾル試料を用いて、この表面張力低下の現象について検討した。具体的には、水で抽出した大気エアロゾル成分の水溶液や硫酸アンモニウムを加えたエアロゾル抽出物の水溶液に対して、懸滴法により表面張力の測定を行い、硫酸アンモニウム・界面活性物質の濃度と表面張力の関係についてデータを得た。この実験結果は、大気エアロゾルの雲凝結核活性の評価において塩析効果をどのように取り扱うかを判断する上で、参考になると考えられる。 なお、研究代表者の持田は、3月にヘルシンキ大学およびヒューティアラ森林フィールドステーションを訪問することを予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の問題が発生したため、今年度の訪問を中止した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、研究代表者によるヘルシンキ大学訪問を中止することとなり、ヘルシンキ大学のヒューティアラ森林フィールドステーションにおける観測研究について詳細を議論するには至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染拡大のため、ヒューティアラ森林フィールドステーションにおける大気エアロゾル採取の日程調整に至っていない。感染の状況が落ち着いた場合には、試料採取の詳細について相談を進めたい。今後の状況によっては、当初検討していた令和2年度の試料採取を見送り、令和3年度以降の採取に基づいて研究を進めることを検討する可能性がある。
|
Causes of Carryover |
調達方法等の工夫や、海外出張の中止・見直しにより、当初の計画より経費の使用額が低くなった。次年度使用額は、大気試料の採取と分析に必要な物品の購入や、全球モデルの改良とその計算・解析に使用する。
|