2022 Fiscal Year Research-status Report
熱帯泥炭地域の森林火災発生メカニズム解明と生態系リスク・ マネジメントの共創
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19KK0268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉野 邦彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60182804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 和敏 宇都宮大学, 農学部, 教授 (30376941)
御田 成顕 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70800655)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 森林火災発生メカニズム / 熱帯泥炭地域 / 生態系リスク評価 / 炭素収支 / 生態系リスクマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
(吉野):衛星RSデータを用いた森林火災面積算出と延焼モニタリング:今年度は過去10年分の衛星RS画像を用いて、各年の土地被覆分類図を作成し、別途入手した火災発生地点データから、Rupat島全域での各年、各土地被覆における単位面積当たりの森林火災焼失面積を算出し、森林火災発生確率をした。10年平均を当Rupat島における平均森林火災発生確率とした。さらに、当該地域の光学的衛星画像には雲で覆われる頻度が高く、利用した衛星画像の観測頻度では、火災の延焼状況を捉えることが難しい。そこで、雲の影響を受けずに地表を数日おきに観測する衛星マイクロ波画像を用いて、森林火災の延焼状況をモニタリングすることに成功した。年度末には、現地森林で熱帯の樹木の地上部バイオマス量(材積量)を樹木画像から非破壊で推定するため、技術開発のためのテスト画像撮影を行い、樹木の材積量を推定した。 (大澤):現地観測による火災による土壌からのCO2放出フラックス測定と非破壊式樹木のアロメトリー式推定方法の開発:年度末に現地に土壌からのCO2フラックス測定装置を持ち込み、森林火災発生後数年経過した地表と火災が発生し沈下直後の地表からの炭酸ガス発生量を測定した。その結果、火災直後の土壌でのCO2放出速度が著しく大きいことが明らかとなった.火災直後の泥炭地は下層の泥炭土壌で分解が行われ,大気に放出されていたと考えられ,火災から数年後の泥炭地では分解が抑制されていると同時に,土壌水分がCO2放出を阻害しているためCO2放出速度が小さかったと考えられる. (御田):行政文章による森林火災防止関連制度の把握:現地カンターパートのインドネシアIPBのYudiSetiawan先生を通して、当地域の行政府から森林火災防止政策関連の資料を入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究を開始した2019年末から今年度2022年の中頃まで、新型コロナウィルスCOVIT-19の世界的蔓延により現地渡航が難しかったため、現地土地利用調査、土壌からの炭酸ガス放出量の現地観測と現地住民の火災予防意識についてのヒアリング調査によるデータ収集を全く行うことが出来なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度末(2023年3月)に現地土地利用調査および火災発生地と火災無発生地での土壌からの炭酸ガス放出量について予備調査を行った。この現地調査結果を踏まえて、来年度は、複数回の現地調査を実施して、 ①現地土地利用調査結果に基づく衛星画像による土地被覆変化と火災発生平均確率の算出ならびに森林火災による炭酸ガス放出量の推定、 ②森林火災発生前後の土壌表面からの土地被覆別炭酸ガス発生量の推定を行い、火災発生リスクを推定する。 ③②で推定した火災発生リスクを基に、現火災防止政策の問題点を明確化し、当該Rupat島におけるより実効性のある森林火災防止政策を提案する。
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Causes of Carryover |
研究を開始した2019年末から今年度2022年の中頃まで、新型コロナウィルスCOVIT-19の世界的蔓延により現地渡航が難しかったため、現地土地利用調査、土壌からの炭酸ガス放出量の現地観測と現地住民の火災予防意識についてのヒアリング調査によるデータ収集を全く行うことが出来なかったため、海外調査旅費を消費できなかった。次年度は、複数回の現地調査を実施する。さらに現地土壌を日本国内に輸入できないため、インドネシア側のカウンターパートであるYudi Setiawan先生のIPBの研究室に一ヶ月間ほど若手研究者が滞在し、様々な環境下での現地熱帯泥炭土壌からの炭酸ガス発生量を測定する予定である。現地調査旅費と現地実験のための滞在費として使用する。
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Research Products
(5 results)