2021 Fiscal Year Research-status Report
mitoTALEN法を用いた植物ミトコンドリアゲノム修復と細胞質雄性不稔の解析
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19KK0391
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有村 慎一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00396938)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | ミトコンドリア / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度もコロナ禍のために共同研究先への直接訪問は叶わなかった。しかしながら、昨年度に米国で開発された哺乳類ミトコンドリアゲノム編集技術一文字編集について、これを応用することで、葉緑体ゲノムの標的一文字塩基置換法を確立することができ、これを論文発表した。当該技術は韓国のグループと同着で論文掲載されたが、新聞やウェブサイトなど国内外で多数紹介してもらうことができた。この技術を新たに武器に加えて、当該国際共同研究では、植物側の(標的配列に二重鎖切断を起こすだけでなく、塩基の置換によるミスマッチを起こした時の)修復機構について解析が可能となり、こちらにもその研究対象を広げて現在も引き続き実験中である。植物ミトコンドリアゲノムについても標的一文字塩基編集が成功できており、こちらは執筆時に論文アクセプトがされており、2022年度中に論文公開される予定である。植物ミトコンドリアゲノム編集の第一世代、DNA二重鎖切断を引き起こす方法では、大規模な延期欠失とゲノム構造が変化してしまうという特徴があったが、新しい塩基置換方法は、そのような大きな変化を起こすことなく、ピンポイントに一文字だけの改変が可能であり、この点でも新しい技術と解析方法につながっている。植物ミトコンドリアゲノムについての標的切断技術、ミトコンドリアと葉緑体についての一文字編集技術は、比較的難しい技術であることもあり、さらに国内外から共同研究による実行を打診され、できる限り引き受けている。このため、当初予定を超えた共同研究数、植物の種類や対象遺伝子数が増え、また多角的な遺伝子撹乱による解析ができることから深みのある研究考察につながることで、質的にも良い方向に向かっており、2022年度も引き続き発展展開させていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍下のため、共同研究先への滞在は叶わなかったが、互いの実験材料を送り合い、できる部分を分担して行うこと、並びに新たなゲノム編集技術の利用と開発によって、思わぬ進展が見られた。ミトコンドリアゲノム編集技術は、切断酵素による第一世代から一文字編集の第二世代に進むことができたほか、ミトコンドリアゲノムだけではなく葉緑体ゲノムもその標的に加えることができるようになり、これらによる人為変化実験と、その変化に対する植物側の修正機構について当初予定を超えて深く広く解析を進展することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きコロナ禍による移動制限、滞在と交流の難しさがあるが、2022年度は二箇所の共同研究者と植物ミトコンドリア学会などを介して直接議論と情報交換を行う予定である。互いに研究と技術の進展があり、当初予定を超えた解析ができており、引き続きの実験とともに論文への落とし込みを議論しつつ残りの研究を行う予定である。
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Research Products
(6 results)