2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内蛋白質の時空間的ダイナミクス調節による細胞応答制御機構の解明
Project/Area Number |
20200057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 一正 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10312539)
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Keywords | 細胞骨格 / Dronpa / イメージング / コフィリン / LIMキナーゼ / アクチン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本年度は、細胞の運動促進時における細胞内アクチン濃度の時間変化を解析した。乳癌由来MCF7細胞に対してEGF様の増殖因子であるニューレグリンを添加し、細胞運動を促進すると一過的に葉状仮足を形成して移動を開始する。この刺激による細胞運動の前後において細胞内遊離アクチン濃度の変化を解析した結果、大きな濃度の減少を検出し、その変化量が細胞形態の変化の程度を決定していることを明らかにした。さらに、細胞内の葉状仮足、細胞質内における遊離アクチン濃度の濃度分布を時空間的に測定した結果、遊離アクチン濃度が局所的に高い部位は存在せず、重合するアクチンの供給は自由拡散に依存する可能性が示唆された。また、細胞内蛋白質が細胞骨格に対してどの程度のターンオーバー速度で結合・解離し、その速度にどのような意味があるかを明らかにするため、アクチン脱重合因子であるコフィリンの濃度について細胞内空間分布を測定した。その結果、コフィリンは非常に速いターンオーバー速度でアクチン線維に結合しており、また、コフィリンは遊離アクチンより速い速度で拡散していることから、ほとんどの分子が遊離状態にあることが明らかとなった。これらの結果から、コフィリンは、非常に早い速度でアクチン繊維と結合することにより動的なアクチン線維の脱重合を可能にしていることが示唆され、また、計画の一つである微小管の安定化に関わると考えられるFurryについても解析を行った結果、微小管のアセチル化を促進して安定化に寄与する可能性が示唆された。さらに、コフィリンの脱リン酸化酵素であるSlingshotのリン酸化による葉状仮足への局在化を解析した結果、Slingshotが葉状仮足先端部へ局在するためには少なくとも978番目のリン酸化が必要であることが明らかとなった。
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Research Products
(22 results)