2011 Fiscal Year Annual Research Report
木簡など出土文字資料釈読支援システムの高次化と綜合的研究拠点データベースの構築
Project/Area Number |
20222002
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
渡辺 晃宏 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 史料研究室長 (30212319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 正樹 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10126295)
耒代 誠仁 桜美林大学, 総合科学系, 講師 (00401456)
馬場 基 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (70332195)
山本 崇 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (00359449)
森本 晋 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 文化財情報研究室長 (40220082)
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Keywords | 木簡 / 出土文字資料 / OCR / データベース / 漢字 / 墨書土器 |
Research Abstract |
木簡など出土文字資料の釈読支援システムの高次化 木簡解読支援システムでは、字形判別手法の実装・検証に用いる文字画像の数を増やすことで対応字種を増加させるとともに、古代木簡の画像に特有の色分布を解析することで、字形抽出・判別の精度を効果的に高めることに成功した。また、昨年度開発した木簡の情報を蓄積・整理するためのアノテーションツールに、インタラクティブな画像処理技術を実装し、その有用性を向上させた。 木簡など出土文字資料の綜合的研究拠点データベースの構築 研究拠点データベースでは、2011年12月に、「木簡字典」のフラッシュ化によるシステム更新を実現した。これにより検索スピードを飛躍的に向上させることができ、画像データ利用の利便性を高めることができた。また、木簡以外の出土文字資料のデータベースの初めての試みとして、画像データベース「墨書土器字典」を開発し、同じく2011年12月に公開を実現した。「墨書土器字典」は、「木簡字典」をベースに墨書土器の資料的特性を考慮して新たに開発したもので、奈文研のホームページで公開している(http://bokushodoki.nabunken.jp/)。平城宮跡出土のもののほか、静岡県伊場遺跡群出土の資料もアップすることができた。 支援データベースとして出土遺構年代観データベースを構築し、別途開発して2011年5月に公開した木簡人名データベースに盛り込んだ。いずれも解釈の部分にまで踏み込んだこれまでにない内容を盛り込んだデータベースで、これを「木簡字典」にリンクさせることにより、研究拠点データベースとしての充実を図った。また、XML化したテキストデータを「木簡字典」の検索結果に表示するようにした。そして各タグから「木簡ひろば」などの関連ページ(主として「木簡関係用語集」)の知識情報情報へのリンクをはることにより、より使い易く便利なデータベースへと高次化を図ることができた。このほか、「木簡字典」について引きつづきデータの充実に努め、新たに約5000点の画像を切り出して蓄積した。その結果、累積文字画像数は約50000点、木簡数で約3000点に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初目的として設定した木簡など出土文字資料の釈読支援システムの高次化、木簡など出土文字資料の綜合的研究拠点データベースの構築の2点について、予定していた事項は概ね実現できた。機関としての利用環境の制約によって実現できなかった複数地点での釈読支援システムの運用についてはなお課題が残るものの、その他の未達成事項については、最終年度中に実現の見通しを得られる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年に当たる2012年度は、木簡支援支援データベス群の充実、読めない文字の検索システムの開発など、これまで懸案として残ってきた課題の実現に見通しを得たい。また、報告書の作成(成果報告書と印刷版『木簡字典』の増補改訂)を行って研究成果を広く公開するとともに、連携検索の高次化や外国語表示の充実など、より使い易いデータベースにむけた改善を加える予定である。また、これまでの研究によって開発したMokkanshopと木簡字典という2つの木簡研究工具を有機的に連関させた新たな知の運用の検討を進め、研究の新たな展開の実現を図りたい。また、最大の課題であるデータの充実には引きつづき努めていきたい。
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Research Products
(18 results)