2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20223001
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
岡田 章 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 教授 (90152298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 和雄 京都大学, 経済研究所, 所長 (60145654)
今井 晴雄 京都大学, 経済研究所, 教授 (10144396)
蓼沼 宏一 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50227112)
梶井 厚志 京都大学, 経済研究所, 教授 (80282325)
古潭 泰治 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80272095)
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Keywords | 経済理論 / ゲーム理論 / 市場 / 情報 / 政治経済学 / インセンティヴ / 交渉理論 / 繰り返しゲーム |
Research Abstract |
本研究の目的は、ゲーム理論の先端的な研究分野を下記の三つのサブテーマに大別し、理論と応用の両面から経済システムにおける制度、市場、組織、人間行動の間の相互連関を解明することである。平成21年度の研究実績は、次の通りである。 (i)市場の動学・非完備情報ゲーム分析(西村、梶井、原) 行動経済学的視点から個人の意思決定の認知構造を分析し、思考停止能力と協力行動に正の相関があることを明らかにした。動学的一般均衡理論の枠組みで将来の生産性に対する不確実性が存在する非完備市場において最適税制のモデルを構築し、資本と労働に関する最適税率の理論式を導出した。また、個々の消費者の主観的時間割引率や確率的信念の異質性が資産価格に及ぼす影響を明らかにした。 (ii)組織・情報・インセンティブのゲーム分析(今井、関口、尾山) 交渉解の公理的研究を発展させ、従来の公理系の単純化を行うとともに動学的合同性の新しい公理と非対称解の関係を分析した。費用をかけて相手行動の観測を選択できる繰り返しゲームの研究を継続し、観測情報のノイズが大きい場合に部分的な協調を達成する均衡の存在を構成的に証明した。私的情報下でのパートナーシップ解消の制度設計問題の2段階メカニズムによる解を示した。 (iii)政治経済学のゲーム分析(岡田、蓼沼、古澤) 非協力交渉ゲームで提案者選択ルールと将来利得に関する割引き因子が一般的な場合における定常部分ゲーム完全均衡の存在と効率性定理を証明した。効率性と衡平性のように複数の評価基準を辞書式に適用する場合の2つの異なる意思決定方法を定式化し、それぞれの方法による選択が非空であるための条件と選択の合理性が成立するための条件を解明した。国際政治経済の研究を発展させ、金融制度が不完全な経済では財貿易と資本移動が補完的であるという新たな知見を得た。
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