2010 Fiscal Year Annual Research Report
不斉自己触媒反応における不斉の発生・増幅と伝播の研究
Project/Area Number |
20225002
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
そ合 憲三 東京理科大学, 理学部, 教授 (90147504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 常臣 東京理科大学, 総合研究機構, 講師 (40385513)
柴田 高範 早稲田大学, 先進理工学部, 教授 (80265735)
新藤 斎 中央大学, 理工学部, 教授 (90245986)
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Keywords | 不斉自己触媒反応 / 不斉認識 / 不斉の起源 / ホモキラリティー / 不斉触媒 / キラリティー |
Research Abstract |
生体関連化合物には,L-アミノ酸のように一方の鏡像異性体が圧倒的に多く存在するものが多く知られており,その起源およびプロセスは,長年の謎とされてきた。本研究では,鏡像体過剰率が向上する不斉自己触媒反応の研究およびそれを用いて不斉の起源に関する研究を行った。 アキラルなアミン存在下でピリミジンカルバルデヒドとジイソプロピル亜鉛とを作用させると,検出限界以上の鏡像体過剰率を持つSおよびR-ピリミジルアルカノールが統計的分布に従って,生成する自発的な絶対不斉合成を実現した。さらにメチル基の水素原子を重水素原子に置換して生じるキラル化合物(α-メチルアラニン)を不斉開始剤とする不斉自己触媒反応を達成した。また,DL-セリンを含むキラル結晶(硫酸塩)が不斉の起源として作用し,不斉自己触媒反応を誘起することを明らかにした。ラセミ体は,これまで不斉の起源として作用することはほとんど予想されていなかったので,本結果はラセミ体を含む物質が不斉の起源として作用することを示す極めて珍しい例であり,ラセミ体の不斉の起源としての役割を示すものである。辰砂表面へのピリミジン基質の吸着状態を観察した。さらに同一の面選択性を持つ2つのキラル触媒を混合して不斉自己触媒反応を行うと,単独のキラル触媒によるエナンチオ選択性とは逆のエナンチオ選択性を発現することを見出した。本結果もこれまでの常識からは予想されていなかったものであり,エナンチオ選択性の機構を考察する上で有用な知見を与えるものと考えられる。
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Research Products
(48 results)