2011 Fiscal Year Annual Research Report
革新的な核融合炉点火領域を目指した超高密度プラズマの生成と制御
Project/Area Number |
20226018
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
山田 弘司 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (20200735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 隆一 核融合科学研究所, 准教授 (10290917)
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Keywords | 核融合プラズマ / 物性実験 / 磁場閉じ込め / 固体水素ペレット入射 / 燃料供給 / 周辺プラズマ制御 / 超高密度核融合炉 |
Research Abstract |
核融合炉における運転シナリオを策定するため,粒子供給シナリオの実現可能性を確認するシミュレーション計算を進めた.本シミュレーションでは物理相似性により,大型ヘリカル装置(LHD)で得られた高性能高密度プラズマのパラメータから核融合炉における条件を外挿し,自己燃焼プラズマの定常維持に必要となるペレット粒子供給条件を探索した.その結果,既存のペレット入射技術で実現可能な1500m/s以下のペレット入射速度でも,自己燃焼プラズマを維持するための粒子供給が可能であることを示した.一方,先進的な高速ペレット入射を想定したプラズマコア部への直接粒子供給では,良い閉じ込め特性が期待できる反面,30%もの核融合出力変動を引き起こす可能性があることを指摘した. 燃料供給シナリオの予測精度を上げるために,ペレットの溶発とプラズマへの均質化動態を記述する理論モデルの構築をすすめた.プラズマ立上げ時の外部加熱によって発生する高エネルギー粒子による固体水素の溶発促進の影響をモデル化し,LHDにおけるペレット入射実験を良く再現できるスケーリング則を導いた.さらに,ペレット溶発後の均質化過程に関して,磁場構造の三次元性を考慮した理論モデリングを行い,ペレットによる粒子供給分布を予測する計算コードを開発した.LHD実験における実効的粒子供給分布を定量的に再現できることを確認し,核融合炉における粒子供給シナリオ策定に使用できることを示した. プラズマ対向機器における熱負荷低減のために,プラズマ周辺部を効率良く冷却する試みとして,超音速ガス流による粒子供給実験を行った.従来型ガスパフ法に比べて2倍程度高い粒子供給効率が得られ,周辺プラズマ密度を極端に上昇させる様な粒子供給が可能であることを実験的に示し,プラズマ対向機器の熱負荷低減を実現するために必要な周辺プラズマ冷却特性を有することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験で得られたデータの解析・解釈を進めるとともに,そのデータを基にして核融合炉を想定したシミュレーション研究へ発展しており,一定の成果が順調に得られてきている.また,粒子供給素過程のモデリング研究も進展し,核融合炉への粒子供給シナリオの予測精度向上が期待できるようになった.以上の理由から、研究の目的はおおむね順調に達成できている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究計画の最終年度であり,最終的な研究目的である「在来型の高温低密度での制御熱核融合点火のシナリオとは異なった超高密度低温で点火を行う科学的モデルを提示する.」ことに向けて研究を収束させる.これまで行ってきた実験研究およびモデリング研究を基に,核融合炉を想定した燃焼プラズマのシミュレーションの予測精度を向上させ,超高密度低温点火を実現するための条件を明らかにするとともに,必要となる工学的課題についても明確な指針を示したい.
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