2010 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系細胞の免疫応答に着目した腸肝軸多段階免疫バリアーシステムの研究
Project/Area Number |
20228005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾崎 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30134505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 正敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (70211547)
佐藤 晃一 山口大学, 農学部, 教授 (90205914)
鳥橋 茂子 名古屋大学, 医学部, 教授 (90112961)
百渓 英一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所, 上席研究員 (50355145)
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Keywords | 腸肝軸 / 間葉系細胞 / 免疫応答 / 炎症反応 / 平滑筋細胞 / 筋線維芽細胞 / 内皮細胞 / ES細胞 |
Research Abstract |
消化管と肝臓には高度の免疫機構が備わっているが、最近これらの臓器が連携して生体防御に当たると考えられるようになり、腸肝軸(Gut-Liver Axis)と呼ばれて注目されている。本研究は、両臓器に分布する間葉系細胞群が免疫細胞との共同作業によって生体防御機構に積極的に関わることを証明することを目的としている。本年度(2010年)は、6報の論文を公表したが、ここでは以下の2点について概説する。 1.副交感神経を介した炎症抑制機構: 自律神経系(副交感神経系)による炎症制御機構が今注目されている。本研究では、副交感神経の介在神経であるセロトニン神経に着目し、5HT4受容体刺激薬が壁内神経からのACh遊離促進作用を介して、NSAID潰瘍モデルにみられる炎症反応をマクロファージ上のα7nAChRを活性化して抑制することを見いだした(J Gastroenterology 2010)。同様の抗炎症作用を腹腔開腹手術後に発症する術後腸麻痺モデルにおいても明らかにした(Gut in press;この論文は2011年の巻号が付くかもしれないのでリストには記載していない)。消化管運動機能調節薬の新しい臨床応用の可能性を指摘した研究で、今後注目される論文と考えている。 2.肝臓星細胞の活性化における収縮タンパク質転写調節因子の役割: 肝星細胞において、転写因子myocardinが種々の収縮タンパク質発現に関わるだけではなく、線維芽細胞の活性化そのものに関わることを、siRNAを用いた実験により明らかにした(Liver Int 2010)。この成績は、線維素産生系と収縮タンパク系が連関していることを示した最初の論文となる。これまでの肝星細胞についての研究で収縮タンパク質の変動と意義を扱ったものは少なく、新規性の高い研究である。
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Research Products
(19 results)