2010 Fiscal Year Annual Research Report
ファッションアパレルの設計・生産・マーケティングと国際競争力強化に関する調査研究
Project/Area Number |
20240067
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大谷 毅 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (00092867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 和子 文化女子大学, 服装学部, 教授 (40202882)
森川 英明 信州大学, 繊維学部, 教授 (10230103)
高寺 政行 信州大学, 繊維学部, 教授 (10163221)
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Keywords | クチュールメゾン / スティリスタ / アトリエ / ステユーディオウ / プレタポルテ / 設計過程 / 製造工程 / 手作業 |
Research Abstract |
本研究は日本ファッションビジネスの国際プレゼンスが低い原因を探り、国際化可能なビジネススキームの構築を模索するべく、ベンチマーク的事業者であるパリ・ミラノのクチュールメゾンのヌーベルクチュールなどのアパレル製品(以下"プレタポルテ")の設計・製造過程を追跡してきた。最終の本年度は、当該メゾンの設計主務者(クチュリエ・スティリスタ)の周辺にいたアシスタデザイナ、ならびに日本人のデザイナーに当該設計主務者の役を設定し、パリ・ミラノ次期シーズン展示会見本の設計等を課し、仏伊日のしかるべき縫製業者に展示会見本を作成させ、仏伊日で評価するなどの実験を過年度から引き続き行なった。その結果、(1)日本のアパレルメーカーでもパリ・ミラノを市場とする“プレタポルテ”製品の製造は可能なこと、(2)当初は設計主務者との緊密なコンタクトを維持するなどの学習過程が必要になること、テキスタイルに関連して、(3)メゾンの定番的商品も含め素材の採否は設計主務者の主観に依存しアドホックに決まること、したがって(4)日本のテキスタイルまた同一条件のもとで取引され、これに習熟している事業者は皆無ではないが少ないことが判った。そこで件のビジネスの國際化は設計主務者の存在に依存すすが、日本人のファッション分野の設計能力を問う前に、設計主務者に職務を課する経営機能を世界の水準に匹敵させる改革が必要になる。ことに設計過程において、自動車や電機製品とは異なり、ファッションには専門化にもとつく分業が威力を発揮しがたい領域があり、これが国際展開の阻害要因となるが、現存の日本の上位アパレルメーカーはこの点をほとんど考慮しないため、国際化に後れを取り日本市場の喪失をも招き、ハイリスク・ローリターンとなり、事業資金の新規流入を阻む結果となった。以上はメゾンレベルであるが、標準価格帯のファストファッション事業では、日本の事業者にさらに過酷な問題をもたらす可能性がある。
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Research Products
(19 results)