2009 Fiscal Year Annual Research Report
プレートテクトニクス場の違いにおける深部地下水流動と物質循環機構の解明
Project/Area Number |
20241006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬原 保典 Kyoto University, 原子炉実験所, 教授 (30371537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 浩之 東京大学, 工学(系)・研究科, 准教授 (60313194)
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Keywords | 鹹水 / 沃素同位体比 / 塩素同位体比 / 溶存希ガス / 付加体 / 地下水年代測定 |
Research Abstract |
プレートテクトニクス場の違う太平洋側と日本海側の鹹水中の沃素同位体比について調査した結果いずれの側においても同位体比について大きな違いはみられなかった。また、昨年度の成果を踏まえ日本列島を覆う白亜紀・ジュラ紀の付加体中の沃素濃度およびその同位体比ついて調査を行ったが、いずれの岩石も殆ど沃素は含まれておらず地下深部からの沃素の供給によって鹹水中の高沃素濃度が保たれている可能性は極めて低い結果を得た。そこで、茂原地区の鹹水年代(塩素36と溶存希ガスから求めた年代)とそこに含まれるヨウ素の年代についても大きな隔たりがあり、鹹水の年代は、地層の形成年代と極めて調和的であることから、沃素年代が持つ意味とヨウ素の起源についてさらに検討が必要である。特に。ヨウ素年代をきめるヨウ素同位体比の初期値については、改めてその値について核実験以前に海藻等に濃縮されたヨウ素や古代に藻塩を生成していた時代の遺物に残されたヨウ素同位体比を測定しデータの収集の必要性があることが明らかとなった。これらのことを総合的に判断するとヨウ素の地球規模での循環挙動について近年議論されてきたプレートの沈み込みに伴って海洋プレート上の堆積物から絞り出されたヨウ素が天然ガスの濃集に伴い移動し茂原地区等の地下に溜まったとする考え方は、必ずしも支持されない。鹹水中のヨウ素の濃集移動についてはもっと単純な現位置生成機構について議論する必要性が明らかとなった。また、これらの議論を深めるためには、鹹水の年代測定技術の高度化が一層重要である。
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Research Products
(10 results)