2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児における臭素系化学物質曝露の実態解明と評価法の開発
Project/Area Number |
20241016
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森 千里 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (90174375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深田 秀樹 千葉大学, 予防医学センター, 特任准教授 (00359598)
松野 義晴 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 講師 (00376378)
戸高 恵美子 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 助教 (30334212)
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Keywords | 乳幼児 / 臭素系化学物 / PBDE / PCB / 室内汚染 |
Research Abstract |
1.有機臭素化合物の曝露状況: 出産前後に採取した8組の臍帯・臍帯血・母体血・母乳中の臭素化難燃剤PBDEと塩素系化学物質PCBの濃度を測定した。PBDE曝露とPCB曝露には明瞭な関連性はなかった。PCBでは組織間の移行性はどの組織間でも変わらなかった。PBDEの濃度(pg/g湿重量)は、臍帯4.2±3.2(平均土標準偏差)、臍帯血4. 1土2.5、母体血21土6. 6、母乳65±34であった。 PBDEでは主に低臭素化物が移行しやすく、母体血では主に4〜10臭素化物が検出されたが、10臭素化物は母乳へほとんど移行しなかった。血中PCB濃度は年齢とともに上昇した(n=131)。毛髪中水銀濃度と血中PCB濃度との間には関連が見られた(n=39)。毛髪中水銀濃度の変動係数(Cv)は65%だったのに対し毛髪中臭素のCvは178%で、毛髪中臭素が一般より10倍程度高い被験者が1割ほどいた。 2.有機臭素化合物の遺伝子発現への影響: PBDE(DE-71、DE-79、DE-83)を臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に、40μMの濃度で曝露し、6, 12, 24, 48時間後の遺伝子発現を調べた。 TXNIP(thioredoxin interacting protein)をはじめとするhioredoxin familyの遺伝子、DHCR24 (3β-hydroxysterol-Δ24 reductaseやp53(tumor suppressor protein)の発現変動が確認され、PBDEは酸化ストレスに関与する遺伝子の発現を変化させることが明らかになった。 3.乳幼児のPCB濃度、血中脂肪酸組成とPCB濃度: 母乳をのむ乳幼児は授乳期間に応じて血中PCB濃度が上昇し、2年近く授乳した者は60歳成人相当の1 ng/gを超えた。授乳が終了すると体重の増加とともにPCB濃度は低下した。魚類接収の指標となる血中ドコサヘキサエン酸濃度と血中PCB濃度との間に相関がみられた(相関係数0.40)。
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