2010 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児における臭素系化学物質曝露の実態解明と評価法の開発
Project/Area Number |
20241016
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森 千里 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90174375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮山 政敏 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (70175339)
松野 義晴 千葉大学, 予防医学センター, 准教授 (00376378)
戸高 恵美子 千葉大学, 予防医学センター, 准教授 (30334212)
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Keywords | 乳幼児期 / 臭素系化合物 / PBDE / PCB / 室内汚染 |
Research Abstract |
ポリ塩化ビフェニル(PCB)やダイオキシンなどの生体への影響に加え、最近では有機臭素系化合物の汚染によるヒトへの影響も懸念されている。本年度の研究では、環境化学物質によるヒトの健康影響に関するリスク低減のため、有機臭素化合物であるポリブロモジフェニルエーテル(PBDE)のヒトへの影響評価の基礎となる曝露状況を評価することを目的に、主に(1)PBDEの発生源の1つと考えられる電子機器の稼働による室内環境へのモニタリングと、(2)PBDEと化学構造が類似し、食品由来の蓄積性化学物質の指標となりうるPCBをモデルに母児曝露移行の実態の解明を検証するため血中PCB濃度との関連を調べた。 (1)化学物質を低減した教室でのモニタリング結果では、電子機器であるPC一台の稼働により0.0013ng/m^3、稼働なしではN.D.であった。電子機器から揮発するPBDE濃度は極微量の結果であったが、他の電子機器類との共用による揮発量の高まりも予想されるほか、長時間稼働によるヒトへの影響も懸念される。 (2)5名の血液試料から得られた血中総PBDEs濃度は湿重量当たり最低値16~最大値52pg/gの範囲で、血中総PCBs濃度は320-590pg/gの範囲にあり、総PBDEsと総PCBsとの間には相関を認めらなかった。 本年度に得られた研究成果とこれまでの成果から、電子機器などの様々な工業製品に耐可燃性を目的で使用されるPBDEの影響について、乳幼児を含めたヒトおよび齧歯動物、さらには生活環境を含めの発生段階から包括的に検証することは、次世代影響を究明する上で重要と考える。
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