2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機フッ素化合物など強難分解性物質の水・汚泥処理系における挙動と新分解法開発
Project/Area Number |
20241021
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
尾崎 博明 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40135520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 正孝 大阪産業大学, 人間環境学部, 客員教授 (60026119)
白川 卓 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (30171044)
山田 修 大阪産業大学, 工学部, 教授 (10140203)
濱崎 竜英 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (50340617)
谷口 省吾 大阪産業大学, 新産業研究開発センター, 研究員 (40425054)
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Keywords | 有機フッ素化合物 / PFOA / PFOS / 強難分解性物質 / バイオアッセイ / 電気分解 / 間接熱脱着 / LC/MS/MS |
Research Abstract |
本研究では、世界的に問題になっているPFOS (Perfluorooctane sulfonate)やPFOA (Perfluorooctanoic acid)などの有機フッ素化合物等の強難分解性物質を対象とし、分離・分解技術の開発について検討するとともに、PFOSの遺伝子発現に及ぼす影響ついて検討を加えた。得られた成果は以下の通りである。 1. 塩除去率が90%程度あるいは50%程度の低圧逆浸透膜により溶液中のPFOAとPFOSの類縁化合物を分離したところ、それぞれ94%以上と40%以下の除去率が得られた。分離には分子量の大きさが関与し、分子の長さ(炭素数)による影響は見られなかった。 2. 波長254nmと185nm(真空紫外線)とを含む紫外線照射によりPFOAが分解されることは前年度に報告した。分解条件についてさらに検討したところ、酸素やオゾンの存在はむしろ分解を阻害し、化学的酸化法で通常見られるようなOHラジカルの作用ではなく、紫外線のエネルギーが直接的にPFOAの分子間結合に作用してこれを切断することによりPFOAが分解されると推察された。また、河川水や下水二次処理水のようにTOC濃度が高い試料水ほどPFOA分解率が低く、フッ素イオン化率も低いことがわかった。 3. 電気分解法により下水二次処理水中のPFOS類縁化合物の分解実験を行いPFHxS(C6)、PFHpS(C7)、PFOS(C8)及びPFDS(C10)はPFBS(C4)への分解を経てさらに分解され、高い除去率を得ることができた。このことより電気分解法は実排水にも適用し得ると考えられた。 4. PFOSの間接熱脱着法による加熱において、400℃ではPFOS単独での分解率が60%である一方、土壌に付着したPFOSはほぼ分解され、土壌に含まれる金属などが触媒として作用する可能性があることがわかった。 5. MTTアッセイによりHepG2細胞に対する細胞障害性試験を行ったところ、PFOSは100μmol/L以下では細胞増殖促進に働き、200μmol/L以上では致死的に働くことが示された。さらに、PFOSの脂質代謝への影響については、PFOSがPPARαのリガンドとなり、関連遺伝子の発現に関与することが示された。
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Research Products
(27 results)