2011 Fiscal Year Annual Research Report
グローバルヒストリー研究の新展開と近現代世界史像の再考
Project/Area Number |
20242013
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秋田 茂 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10175789)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水島 司 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (70126283)
|
Keywords | グローバルヒストリー / 長期の18世紀 / 東アジアの経済的再興 / 海域アジア / 開発主義 / 比較経済発展論 / 近現代世界史 / 世界システム |
Research Abstract |
(1)「長期の18世紀」における海域アジア世界の経済発展、海外貿易の展開と後背地域との関連性を、アジアの主要港市(マドラス、ペナン、シンガポール、バタヴィア、広州、長崎)を事例に比較し、アジア現地商人とアジア独自の「商品連鎖」が、経済発展の主要な原動力であることを明らかにした。その成果は、2011年4月の米国アジア学会(AAS)年次大会で発表し、英文論集を編集中である。 (2)1970年代以降の「東アジアの経済的再興」の歴史的起源とその原因を探究した。その結果、第二次大戦後の東アジア地域における国家主導の「開発主義」に象徴されるアジア人エリート層の主体性と主導、コロンボ・プランやインド援助コンソーシアムに代表される対外経済援助(後のODA)の供与、それを可能にした冷戦体制と地域主義の発展が、相互に影響し合って工業化が可能になったことを解明した。その成果は、2011年4月のヨーロッパ・グローバルヒストリー学会(ENIUGH)第三回大会で発表した。 (3)2011年10月に、インド洋世界研究の権威カナダ・マギル大学のグウィン・キャンベル教授を招聘し、南アジア学会第24回全国大会で、「近世以降のインド洋世界における移民」を通じたグローバル化の進展を論じた。また、東京大学東洋文化研究所でユーラシア史研究グループと共催で、18-19世紀のユーラシア大陸「周辺」地域における通商とヒトの移動を論じ、近代西欧諸国の経済発展をユーラシア大陸規模で再考する新たな視点を探究した。成果は、『南アジア研究』への論文掲載が決まっている。 (4)上記の(1)および(2)二つの研究班の成果は、本科研全体の4年間の集大成として、日本語の研究論文集『アジアから考えるグローバルヒストリー:長期の18世紀から東アジアの経済的再興へ』(仮題:ミネルヴァ書房、2012年12月刊行予定)として編集中である。
|
Research Products
(16 results)