2011 Fiscal Year Annual Research Report
倉富勇三郎日記研究―IT応用新研究支援ツールの導入による全文翻刻と注釈の作成
Project/Area Number |
20242017
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永井 和 京都大学, 文学研究科, 教授 (40127113)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂川 光正 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (30177422)
LEE SungYup 佛教大学, 歴史学部, 准教授 (50378882)
小山 俊樹 帝京大学, 文学部, 講師 (90454503)
冨永 望 京都大学, 文学研究科, 講師 (20572069)
河西 秀哉 神戸女学院大学, 文学部, 講師 (20402810)
|
Keywords | 倉富勇三郎日記 / 倉富勇三郎 / 宮中問題 / SMART-GS |
Research Abstract |
1.大正10,11年分の日記を収録した『倉富勇三郎日記』第2巻を年度内に刊行することはできなかったが、すでに本文、索引はできあがっており、これに解説をつけて平成24年6月には、第1巻に続いて国書刊行会より刊行される。 2.大正12,13年分の日記からなる『倉富勇三郎日記』第3巻の刊行準備については、すでに翻刻が完了しており、校閲もほぼ9割がおわっている。 3.大正14年分の日記については、80%が翻刻済みであり、一部校閲を開始している。大正15年についても翻刻は60%終了している。 4.倉富家所蔵写真に含まれる「京城都市構想図」については、京都大学人文科学研究所の水野直樹教授、京都大学人間環境学研究科教授の西垣安比古教授と共同で研究会を組織し、研究代表の永井和と研究員の州嵜陽が参加した。この共同研究により、問題の構想図が、朝鮮総督府から委嘱をうけたドイツ人建築科デ・ラランデが、1913年頃に作成したものであることが判明した。この共同研究の成果は平成23年10月23日に朝鮮史研究会第48回大会において発表された。同研究会で研究員の川嵜陽が「倉富勇三郎の略歴と所蔵資料・写真について」と題して報告をおこなった。 5.倉富勇三郎日記を用いての大正期の宮中問題の研究として、永井和が1920年の波多野宮内大臣の辞職の顛末を明らかにする論文を発表し、辞職の理由を「宮中某重大事件」に求める学説を批判した。また、小山俊樹は大正期の二大政党である憲政会と政友会の政治戦略を再検討する論文を発表し、貴族院勢力の位置づけの重要性にあらためて注意を喚起した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度内に刊行する計画であった『倉富勇三郎日記』第2巻を年度内に刊行することができず、半年近いおくれが生じている。この遅れは、研究代表者の永井和が負傷して入院したこと、刊行用原稿の作成と編集作業で重要な役割を担っていた分担者桂川光正が健康を害し、平成24年3月に死去したこと、この二つが直接の原因であるが、しかし一冊の書物として刊行するに要する編集作業量の大きさについて、当初の認識が甘かったことも遠因としてあげられる。翻刻がすんだ日記テキストを印刷にまわし、校正をおこない、索引を作成するために多くの労力をとられ、全体としての翻刻・刊行計画を遅らせることになってしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
桂川の死去により生じた戦力の低下は大きいが、平成24年度は本研究諜題の最終年度であるので、『倉富勇三郎日記』第3巻の刊行を最優先させる。また、年度内にできるかぎり、翻刻と校閲を進め、研究課題が終了後も引き続き、第4巻以降の刊行を継続できるように、そのための資産づくりに力をいれることにしたい。
|
Research Products
(7 results)