2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20243001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木庭 顕 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (20009856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
両角 吉晃 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (50239711)
松原 健太郎 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 准教授 (20242068)
金子 敬明 千葉大学, 法経学部, 准教授 (80292811)
桑原 朝子 北海道大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (10292814)
森田 果 東北大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (40292817)
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Keywords | 信用 / 比較社会史 / 銀行 / 私法 |
Research Abstract |
今年度は、結局、主として一旦現代的問題について考えるということになった。とりわけ、2月の研究会では、連携研究者であり金融法制の権威である岩原紳作教授に、今般の金融危機についての詳細な報告を依頼し、ほとんど全メンバーが集まる中で多大な刺激が得られた。世界金融危機も実際にはモザイク状をなす非常に様々な社会構造の間の軋轢に帰因するということであり、アメリカ、中国、イスラムの専門家を擁するこの集団の問題関心と響き合う点が多かった。この他にも、9月には渉外取引における「主権免除」問題を研究会で扱い、集団外で協力を願っている垣内秀介准教授の報告をきっかけとしてやはり信用の国際的多元性の問題を討論した。2月にはまた、京都大学高山佳奈子教授を招き、企業秘密の面から信用の問題にアプローチした。 他方、歴史的な側面に関する限り、招聘予定のスキアヴォーネ教授(ローマ法)が今般の災害のために来日できなかったということなどのために、グループとしての大きな進展は無かったが、それでも9月の研究会では、中心メンバーの一人桑原朝子准教授が近松門左衛門の作品から江戸期商人の信用問題に触れる報告を行った。 成果の面ではしかし、大きな一段階であった。何よりも、両角吉晃「イスラーム法における信用と「利息」禁止」(羽鳥書店、2011)の出版が大きな意義を有する。この研究会の討議の直接的な成果の一つである。さらには、木庭顕「ローマ法案内-現代の法律家のために」(羽鳥書店、2010)も、「第4章:所有権に基づく信用の諸形態」を初めとして、明白に「信用の諸形態」の観点からローマ法を論じ、かつ現代に言及し、例えば前記岩原報告と密接に対話するものである。
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Research Products
(3 results)