2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20243002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 國廣 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (50380647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 憲市 (米田 健一) 鹿児島大学, 大学院・司法政策研究科, 教授 (20283856)
野田 進 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (90144419)
武田 昌則 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (60404547)
小佐井 良太 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (20432841)
草鹿 晋一 京都産業大学, 大学院・法務研究科, 准教授 (30327118)
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Keywords | 司法過疎 / 弁護士 / 裁判所 / 弁護士法人 / 法テラス / ひまわり基金 / 公設事務所 / 法曹養成 |
Research Abstract |
本年度は、当研究の最終年度として、資料の分析作業をまとめに、その成果の基づく研究成果の検証と研究発表を中心とする取組を行った。 当研究では、ボスト「ゼロ・ワン」時代の司法過疎対策の課題として、(1)司法アクセスの問題としての司法過疎問題は、弁護士の数だけの問題ではなく、地域における司法機関や他の紛争相談窓口の動態、地域社会それぞれの固有の特性等との関係の中で検討する必要があること、(2)司法サービスとしての司法過疎問題は、法律事務所の経営、公的/私的サービスの関係とバランスなどを検討する必要があること、(3)政策に関わる考察には、司法過疎をより一般的な過疎問題の一環として捉える視点や、専門職の養成・教育過程にも踏み込んで検討する必要があること、(4)司法制度改革後の過渡期的状況の中で今後の動きを見据えた情報収集や検討が必要であることを明らかにした。そして、法テラスやひまわり基金による公設事務所による他士業や行政との連携した取組みや、鹿児島、熊本においては、法人化した法律事務所が非常駐型の従たる事務所を展開する事例などが見られるようになったこと、地方において東京の法律事務所によるテレビCMが多数放映されるようになった事情、地方で法律相談などを開催する場合が見られることや、それに関わる新たな問題の発生が見られることなどに踏み込んで探求すべきとの課題を明らかにした。これらを踏まえて、労働法、刑事法分野など、個別分野における今般の司法過疎対策の事情にも目を向けて、法サービス獲得/提供ネットワークの下での諸活動の動態と成果や、(2)裁判所や検察などの制度的な充実度がもつ影響力が、その下で実施される弁護士による当事者への積極的なアクセスやきめの細かい配慮とともに、被疑者・被告人を含む紛争当事者が司法制度そのものや弁護士を通じてもたらされる法サービスの「質」を決定づける側面を持つことを明らかにした。
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Research Products
(20 results)