2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ地域における人権(基本権)規範のハーモナイゼーションとその限界
Project/Area Number |
20243005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小畑 郁 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 教授 (40194617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸波 江二 早稲田大学, 大学院・法務研究科, 教授 (00155540)
北村 泰三 中央大学, 大学院・法務研究科, 教授 (30153133)
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
本 秀紀 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00252213)
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Keywords | 国際法学 / 公法学 / 人権 / 基本権 / ヨーロッパ統合 |
Research Abstract |
本研究の推進母体である研究会の共同の成果でもある『ヨーロッパ人権裁判所の判例』(戸波ほか2008)の編集作業をすすめ、7月に刊行した。刊行後は、国内外の関係研究者にレビューを求め、本研究の課題と方法を再点検することにつとめた。とくに人権裁判所書記局高等法律顧問官(Jurisconsult)ベルジェ(Vincent Berger)氏には、同書における判例の選定についてコメントを頂き(全般的には高い評価を頂戴した)、今後個別研究対象とすべき判例について、こちらの原案にコメントしていただき、さらに多くの判例について教示いただいた。秋のヨーロッパ調査では、上記のほか、人権裁判所で判決執行監視および欧州評議会議員総会(Parliamentary Assembly)の関連活動などについて、さらにドイツ連邦憲法裁判所において、人権裁判所との関係等について聞き取りを行った。 個別の研究成果としては、まず、ヨーロッパ人権裁判所およびEC司法裁判所のものを中心として判例研究をすすめ、論文として刊行したほか、研究会において、報告をうけ議論を行った。ここでは、とくに現代的な(大衆化および科学技術の発達を背景とした)人権問題および政治的困難を抱える国における人権問題について、さまざまなレヴェルの裁判機関が互いに緊張関係をもちつつ判断を行ってきているヨーロッパ地域の実相が具体的に明らかになっている。 個別の研究論文としては、EC/EU法における人権規範の展開過程を、ヨーロッパ地域外および地域内の周辺諸国との関係において位置づけようとするもの(小畑2008)や、グローバル化のなかでの国家と憲法のあり方についてヨーロッパを手がかりに考察したもの(建石2009)などを刊行した。これらについて研究会でもさらに議論をすすめ、共同の財産としていく必要がある。
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Research Products
(11 results)