2008 Fiscal Year Annual Research Report
医療紛争における患者と医療従事者の新たな救済過程の構築
Project/Area Number |
20243008
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
我妻 学 Tokyo Metropolitan University, 都市教養学部・法学系, 教授 (30211668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 太 上智大学, 法学部, 教授 (60327864)
藤澤 由和 静岡県立大学, 経営情報学部・経営情報学科, 准教授 (70387330)
佐藤 雄一郎 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (70326031)
長谷川 貴陽史 首都大学東京, 都市教養学部・法学系, 准教授 (20374176)
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Keywords | 医療・福祉 / 医療安全 / 医事法 / ADR |
Research Abstract |
医療紛争の実態に関しては、患者およびその家族からだけではなく、医療従事者の意識がどのようなものであるかを科学的に考察する必要があることは言うまでもない。ところが、従来の意識調査では、調査対象に関して一般人にまで広げて行っている反面、医療従事者に焦点をあてた意識調査を実施してこなかったために、医療紛争に対する医療従事者への理論的な検討が十分に行われてこなかった。具体的な医療過誤に関する患者および患者の家族の著作も公刊されている。これに対して、医療現場の問題点として医師がリスクをともなう治療を積極的に行わないなど防御医療に関して言及されているにすぎず、我が国ではアメリカなどと比較すると、診療や治療行為を行っている医療現場の生の声を汲み上げて、理論的に分析・研究することはほとんど存在していないのが現状である。そこで、本研究では、先行するアメリカでの医療紛争に関する意識調査を参考にして、内科、外科、産婦人科などの医師に対して、医療紛争に対する意識調査をインターネットによって行い、500件あまりの回答を得ることができた。さらに、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどにおける医療事故報告制度、無過失補償制度、医療倫理教育及び医療従事者に対する安全配慮などの医療安全に関する包括的な研究を文献調査のほかに海外実地調査を行い、我が国との比較・分析を行った。このように医療紛争を従来の研究よりも多面的な角度から理論的な分析をし、今後のあるべき患者と医療従事者の具体的な救済過程を構築するように努めた。
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