2009 Fiscal Year Annual Research Report
医療紛争における患者と医療従事者の新たな救済過程の構築
Project/Area Number |
20243008
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
我妻 学 Tokyo Metropolitan University, 都市教養学部・法学系, 教授 (30211668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 由和 静岡県立大学, 経営情報学部・経営情報学科, 准教授 (70387330)
佐藤 雄一郎 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (70326031)
長谷川 貴陽史 首都大学東京, 都市教養学部・法学系, 准教授 (20374176)
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Keywords | 医療・福祉 / 医療安全 / 医事法 / ADR |
Research Abstract |
我が国では、安心・安全な社会の必要性が唱えられている。特に重要な問題が、患者と医師や看護師などの医療従事者との間で紛争が生じた場合にどのように患者を救済してゆくかである。医療紛争は、当事者間の直接交渉か、あるいは民事裁判による解決の途しか存在していないが、原因究明や再発防止策などの医療安全を担保することは期待できない。そこで本研究は、我が国における新たな医療紛争を解決する仕組みの構築を目指している。従来の研究は、理念や諸外国における制度を紹介することに終始し、我が国における医療従事者の現状を科学的に分析するという最も基本的な観点が十分であったとは言い難い。 我々は、2009年に医師に対して、医療紛争に関する意識調査をインターネットで行っている(インターネット調査は、2009年2月20日から同年2月27日までWEB上に公開して行い、調査依頼総人数は6,762名、その内の回答有効人数は、517名である(有効回答率:7.7パーセント)。インターネット調査からは、裁判および裁判官に対する不信感が強いことなどが明らかとなっている(詳細は、我妻学「医療紛争に関するインターネット調査」法学会雑誌50巻2号1頁以下(2010)参照)。 医療安全を向上するためには、まず医師などの医療従事者への医療安全の基本概念についての習熟を高める研修を行うことが不可欠である。患者の権利意識の向上、社会の変化により、裁判および裁判官に対する医療従事者の不信感を取り除くように裁判と裁判外での紛争処理手続のメリット、デメリットを患者、その家族および医療従事者に示すことが紛争の解決に資するとともに医療安全の向上にもつながる。2010年には、インターネット調査などを踏まえて、病院を中心とした医療機関に対して、医療紛争に関する意識調査を行い、より実態に即した分析を行う予定である。
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[Journal Article]2009
Author(s)
我妻学「産科医療補償制度について」(分担執筆)
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Journal Title
ボーダレス社会と法(ハルトヴィーク教授追悼記念論文集)(石川明=永田誠=三上威彦編著)(信山社)
Pages: 187-215
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