2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
A comparative study of Asianism across Asia from the perspectives of vision and network.
Project/Area Number |
20243010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
International relations
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Research Institution | Rikkyo University (2012) Hokkaido University (2008-2011) |
Principal Investigator |
MATSUURA Masataka Hokkaido University, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (20222292)
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Project Period (FY) |
2008 – 2012
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Keywords | アジア主義 / 地域主義 / ネットワーク / アジア観 / 植民地主義 |
Research Abstract |
本研究は、これまで日本の侵略・戦争をもたらしたイデオロギーとして、あるいはアジアの解放を目的としたイデオロギーとして論じられてきた「アジア主義」を再検討し、相対化しようというものである。従来、日本のアジア主義研究は、言説分析に偏り、また、専ら戦前日本の戦争・植民地支配の責任論及びそれへの反論として、パターン化されてきた。こうした閉塞的状況を打破し、日本とアジア地域との関係について新たな視角を探ると共に、近年著しく経済発展を遂げ、緊密化するアジアの現状を踏まえて、アジア諸国から提示されている新たな地域主義の動向をも視野に入れ、多様な「アジア主義」の可能性を実証的に検討することが、本研究の目的である。研究の遂行にあたって、 (1)アジア主義でイメージされる「アジア」の構成や物語(ビジョン)を明らかにすること。一般に日本人が当然のものとしてイメージしている日本を中心としたエスノセントリックなアジア主義像を相対化するために、他の民族や地域などで抱かれているアジア観やアジア主義概念の具体的な像が多様であることを明らかにする。また、海外で論じられているアジア主義と国内のそれとのギャップを明らかにする。 (2)アジアを区切られた地理的なものとして所与の概念として捉えずに、その地域概念の生成過程を具体的に明らかにする。即ち、ヒト・モノ・カネなどの交流や移動に付随したネットワーク、海のつながりと陸のつながり、西洋帝国主義や白人種中心主義というアンチ・テーゼへの対抗、自国の政治的・経済的利益のために操作される装置、アジア域外の勢力(アメリカ、ソ連、ヨーロッパの帝国など)による文化・イデオロギー工作、宗教や言語などのいわゆる文化、歴史意識といった域内・域外の諸要因との関係で、アジアという観念がどのように形作られていったのかを明らかにする。 (3)上記2つの作業と、アジア全域(地域としてのアジアを越えたアジア太平洋地域を含む)のアジア主義の比較、さらにはヨーロッパ連合との地域主義比較を通じて、アジア主義というものがあるとすれば、それは何なのか、それが有意なものとして存立・発展していくことができる条件や可能性とは何なのかを明らかにすることを目指す。その上で、アジア主義と言われる思想を改めて具体的に地域主義や現実との関係で位置づける。それらを通じて、アジアにおける各国家・政治主体・住民の共生の方向を示すことが、本研究の最終目標である。
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Research Products
(12 results)