2009 Fiscal Year Annual Research Report
雰囲気制御時間分解表面内殻分光法の開発と動的表面プロセスへの展開
Project/Area Number |
20245004
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
近藤 寛 Keio University, 理工学部, 教授 (80302800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 仁 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (00509937)
雨宮 健太 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (80313196)
松田 巌 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00343103)
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Keywords | 化学反応 / 表面・界面 |
Research Abstract |
本研究課題では、大気圧に近い圧力から超高真空までの幅広い圧力下において、時間分解内殻分光測定ができるシステムを開発し、表面で起こる動的過程のメカニズムの解明に応用することを目的としている。2年目にあたる今年度は、初年度に製作した差動排気型電子エネルギー分析器装置に試料位置調整および試料加熱冷却が可能なマニピュレーターを製作して組み込み、実際の試料に対する測定を可能にした。この装置を高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設の軟X線ビームラインに接続し、Si_3N_4窓を通して放射光X線を測定室に導入して試料に照射した。ガス圧を上げながら光電子の検出を行ったところ、0.1Torrを超えた辺りから光電子のカウントが目立って減り始めたが、1Torr程度までガス圧を上げても、十分な計測数で光電子が検出できることを確認した。その際に、試料表面からの光電子に加えて、試料近傍のガスからの光電子も十分なS/Nで観測することができた。 これを用いて、準大気圧下における白金表面上での一酸化炭素(CO)の酸化反応を調べた。COおよび酸素の圧力を0.2~0.5Torr程度まで上げ、試料温度を室温から200℃まで変えてXPSの測定を行った。酸素のみを0.2Torr導入した場合に、白金表面は酸化されることなく金属状態を保ち、原子状酸素ではなく吸着COが弱く観測される。COガスを同時に導入すると、100℃以上でCO酸化反応が顕著に進行するが、吸着COは観測されるものの、原子状酸素は観測されない状態で反応が進行することがわかった。このように準大気圧でCO酸化反応が進行する白金表面において、吸着状態がどのようになっているかが初めて明らかになった。
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Research Products
(6 results)