2011 Fiscal Year Annual Research Report
固体増殖材料中でのトリチウム素過程の解明およびプロセス過程との体系化
Project/Area Number |
20246131
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
奥野 健二 静岡大学, 理学部, 教授 (80293596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 恭久 静岡大学, 理学部, 准教授 (80334291)
田中 知 東京大学, 工学研究科, 教授 (10114547)
原 正憲 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 准教授 (00334714)
深田 智 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (50117230)
宗像 健三 秋田大学, 工学資源学研究科, 教授 (70264067)
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Keywords | トリチウム / 固体増殖材料 / ブランケット / 照射欠陥 / 中性子照射 / 核融合 |
Research Abstract |
本研究は、核融合炉ブランケット内におけるトリチウム挙動をミクロ的な観点からマクロ的な観点まで統一するモデルを構築しようとするものである。23年度はモデル材料であるLi_2TiO_3及びリチウム添加したLi_<2.2>TiO_3,Li_<2.4>TiO_3へ中性子照射し、主なトリチウム放出の律速段階は拡散過程であると解明すると共に、トリチウム放出の各素過程の物理定数の導出を行った。 昇温脱離(TDS)法により、Li_2TiO_3からのトリチウム放出スペクトルは単一のピークであったのに対し、Li_<2.2>TiO_3及びLi_<2.4>TiO_3においてはLi_2TiO_3で見られた放出と、さらに低温領域にもトリチウム放出が見られた。X線回折測定(XRD)により、リチウム添加した試料ではLi_4TiO_4構造が材料中に存在することが明らかとなった。さらに、この低温領域におけるトリチウム放出量はリチウム濃度の増加に伴い増加したことから、Li_4TiO_4構造に起因するトリチウムの放出であると考えられた。等温加熱実験で得られたトリチウム拡散速度の評価から、Li_2TiO_3構造中の拡散が主なトリチウム放出の律速段階であることが分かった。以上の結果からLi_2TiO_3,Li_<2.2>TiO_3,Li_<2.4>TiO_3で見られた共通のトリチウム放出ピークはLi_2TiO_3構造中のトリチウム拡散が律速となった放出であることが考えられた。また、イオン照射によりLi_2TiO_3表面に滞留した重水素の放出スペクトルは3つのピークに分離でき、中性子照射試料で算出した拡散速度を用いた計算、電子スピン共鳴(ESR)法による照射欠陥の消滅温度及びフーリエ変換赤外分光法によるO-D結合の分解挙動との比較から、リチウム空孔を介した拡散過程、酸素空孔からの脱捕捉過程、水酸基の分解過程の3つの過程により、トリチウムの放出が支配されていることを解明した。一方、原子スケールからのアプローチによる固体増殖材料中の水素同位体拡散および放出のモデル化を、Li_2TiO_3とLiNbO_3を対象に行った。また、実炉では、ペブルベッド内のペブルの充填特性や,ペブルの温度特性も、トリチウム放出挙動を決定する因子となるため、LiAlO_2等を対象としてその評価を行った。
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Research Products
(10 results)