2010 Fiscal Year Annual Research Report
産業用素材としてのデンプンを合成する育種素材の作出
Project/Area Number |
20248002
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 保典 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (30013767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
我彦 広悦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (10191842)
阿久澤 さゆり 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (60256641)
佐藤 光 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70128031)
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Keywords | デンプン / イネ育種 / 植物バイテク / 代謝工学 / イネ変異体 / イネ組換え体 / 酵素 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本年度は3年目に当たり、以下の研究を推進した。 1. 組換え体による新規デンプンの作製 イネ種子の登熟初期に種子のシンク機能の発現を強化するために、ホルモンレベルが変動する形質転換体を作製する。本年度はWaxyプロモーターに制御されるサイトカイニン合成遺伝子iptをイネヘ導入し、十分量の形質転換体を作製した。 2. 形質転換体・変異体の基本形質の解析およびデンプン物性の解析 イネ変異体のデンプンのレオロジー分析法の整備・準備を行い、データ収集した。またグルカンの分子量を決定し、変異体ごとに分子量の異なるデンプンができていることを明らかにした。 3. イネデンプン変異体の選抜とデンプン変異体ライブラリーの構築 前年度までに得た稲品種金南風及び台中65号のMNU受精卵処理後代より選抜した胚乳変異系統について、固定化を進めた。これまでに得た変異系統について、原品種との交配及び戻し交配を行い、自殖F2(146組合せ)及びF3で遺伝様式を確認するとともに、同質遺伝子系統形成を進めた。さらに、既知の変異系統との交配F2(188組合せ)の解析を行い、同座性の確認と遺伝子相互作用について解析を進めた。新たに交配を行い、330組合せのF1種子を得た。 4. 変異体や形質転換体のデンプンの産業利用分野の調査および試験 変異体デンプンの菓子への応用を槍討するために、デンプン物性と食品の機能性(難消化性)や加工性の関連を調べた結果、興味あるデータを得た。 5. 主要デンプン合成関与酵素機能のin vitro解析 イネのBE, Phoアイネザイムの酵素学的な性質をリコンビナント酵素標品を用いて解析し、両者が強くかつ互いの機能を活性化することによってグルカン合成を行うとの特筆すべき成果を得た。特に、酵素間の相互作用は相乗的であることを初めて明確にした点は、デンプン代謝制御研究の新分野を開拓することにつながる成果と考える。 6. 国際シンポジウムの開催 これまでの成果を問うために、本分野の世界的な研究者を招待して秋田で国際シンポジウムを開催した。国内外で現在最も活発に研究成果をだしている研究者が参加し、活発な討議が行われ、新たな共同研究が提案された。平成23年度に、プロシーディングスを発刊する計画である。
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