2011 Fiscal Year Annual Research Report
産業用素材としてのデンプンを合成する育種素材の作出
Project/Area Number |
20248002
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 保典 秋田県立大学, 生物資源科学部, 理事 (30013767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
我彦 広悦 公立大学法人秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (10191842)
阿久澤 さゆり 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (60256641)
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Keywords | デンプン / イネ育種 / 植物バイテク / 代謝工学 / 酵素 / イネ組換え体 / 遺伝子 / GPC-MALLSシステム |
Research Abstract |
本年度は、以下の研究を推進した。 1.組換え体による新規デンプンの解析 本年度は、イネ種子のホルモンレベルを改変し、登熟初期に種子のシンク機能を強化する形質転換体用を作成する目的で、Waxyおよびプロラミンプロモーター下流にサイトカイニン合成遺伝子を連結した。得られた種子を調査した。玄米一粒あたりの重量は強いプロモーターのWA:ipt3では117~142%で、増収になったことが示された。イネー粒におけるアミロース含量は、ipt導入イネでアミロース含量が増えていた。以上の結果から、ホルモン調節によって、デンプンを質量ともに制御できる可能性が強く示唆された。 2.形質転換体・変異体の基本形質の解析およびデンプン物性の解析 デンプンの平均分子量をGPC-MALLS(GPC+多角度光散乱検出器)システムを用いて測定した。第1溶出ピークのアミロペクチンの平均分子量として、金南風(野生型)では4.0×10E+7(g/mol)、EM10(BEIIb変異体)では2.9×10E+7(g/mol)、EM19(BEIIa変異体)では4.1x10E+7(g/mol)、EM557(BEI変異体)では7.7×10E+7(g/mol)であった。各BEアイソザイム変異体で、アミロペクチンの構造のみならず分子サイズが異なっている、つまり各BEアイソザイムがそれぞれ異なる代謝的機能を有することが証明された。 3.主要デンプン合成関与酵素機能のin vitro解析 Pho1のデンプン合成過程における代謝的な機能は今日まで明らかにされていない。今年度はPho1の特性をin vitro実験により徹底的に調べた。その結果、(1)Pho1は単独では、プライマー非存在下で、グルカン合成能を持たないが、BEが共存する条件では、プライマーが無くても十分なグルカン合成能を有する、(2)Pho1とBEは互いの活性を促進する効果がある、(3)Pho1-BE相互作用は強く、枝切り酵素活性存在下でも、グルカン合成能は影響を受けない、などの特徴が明らかになった。このPho1-BE相互作用は、これまで不明であったグルカン合成初期過程に重要な役割を果たす可能性が示された。
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