Research Abstract |
平成22年度には,熱帯林,温帯林,北方林の3地域の比較研究が,一部進められた.そして,年度末には本年度のまとめと最終年度に向けた研究集会が行われた.本年度の主な成果は下記の通りである.課題番号は,申請書の通りである. 9サイトのデータを整理して,日単位から年単位での環境要因と各フラックスの関係を整理した.また,人工衛星MODISの整理し,内蒙古からインドにかけてのNDVIの地域性を明らかにした(研究課題1).研究課題2,3は,地域別の特性である.まず,北方林では過湿と植物耐性の影響が調べられ,1mまでの体積含水率が多すぎると植物耐性が劣化した.熱帯林では,40%土壌水分と95%日射の林冠透過率と植物の展葉の関係が調べられ,蒸発散やCO2の陸面-植物-大気間での輸送が再現された(研究課題2),また北方林においてはウェーブレット解析が用いられ,環境因子と表面コンダクタンスの関係が時間により変化することが示された.今後は同研究手法を,熱帯林,温帯林にも適用されることが望まれる(研究課題3).北方林,温帯林,熱帯林において,潜熱,顕熱,CO2フラックスと環境因子の関係が調べられた,その結果,乱流相似則の乖離率は,顕熱が小さい時に大きくなる傾向が認められ,潜熱,CO2フラックスについても同様の傾向が認められた(研究課題4),そして,北方林で開発された陸面過程モデルが熱帯林に適用され,土壌水分のパラメータ(f(θ))が0.5程度の値を取ることが分かった.また,既存の表面コンダクタンスモデルが熱帯林,温帯林,北方林16サイトに適用され,良好な結果を示した(研究課題5). 最終年度は,得られた成果をもとに水・エネルギー・炭素循環特性に関する普遍性をより深めて行きたい.
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