2010 Fiscal Year Annual Research Report
恒久的使用を目的とした空気圧駆動式ウェアラブル全置換型人工心臓の早期実用化研究
Project/Area Number |
20249059
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
本間 章彦 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (20287428)
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Keywords | 全置換型人工心臓 / 空気圧駆動式 / 血液ポンプ / 駆動装置 / ウェアラブル |
Research Abstract |
心臓移植以外に有効な治療手段の存在しない重症末期心不全患者の救命、社会復帰を実現する「恒久的使用を目的とした空気圧駆動式ウェアラブル全置換型人工心臓の早期実用化」を目的とする。 本年度は、空気圧駆動式ウェアラブル全置換型人工心臓システムのプロトタイプを構築し、急性動物実験によりシステムの基本性能の評価を行った。試作した左右血液ポンプは、空気圧駆動式ダイアフラム型ポンプで、一回拍出量は75~80mL、流入、流出弁には二葉弁を使用した。また血液ポンプと駆動装置を接続するドライブラインには、内径6mmの耐圧エアーホースを使用した。急性動物実験には、体重98kgのホルスタイン仔牛を用い、体外循環開始後、左右心室を弁輪部で切除し、心房カフにより左右心房と左右血液ポンプの流入ポートと接続した。また、大動脈および肺動脈と左右血液ポンプの流出ポートは血管グラフトにより接続した。左右血液ポンプ接続後、試作した駆動装置を用いた駆動を開始し、動物の循環動態の維持を試みた。駆動装置には、一台のモータにより2つのシリンダーピストンを同時に駆動し、左右血液ポンプを駆動するツイン空気圧発生機構を用いた。また、性能比較のために、コンプレッサーにより駆動空気圧を発生させるコンソール型駆動装置、2台の補助人工心臓用シングル空気圧発生機構による駆動も同時に行った。いずれの駆動装置においても、循環動態の維持(血圧、流量等)が可能であり、試作したツイン空気圧発生機構において、コンプレッサーを用いたコンソール型駆動装置と同等の性能を実現することが可能であった。試作したシステムは全人工心臓として基本的な性能を有していることが確認された。本システムの実用化に対する今後の課題として、圧力調整弁、大気開放弁を用いたパッシブフィリングによる左右血液ポンプの拍出流量差の制御機構の改善と長期慢性動物実験による検証が望まれる。
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