2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病細菌の病原プロテアーゼ・アドヘジンの膜輸送・分泌機構の全容解明
Project/Area Number |
20249073
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 浩次 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80150473)
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Keywords | 歯周病 / Porphyromonas gingivalis / gingipain / タンパク分泌機構 / Flavobacterium johnsoniae / 滑走運動 |
Research Abstract |
歯周病細菌であるグラム陰性嫌気性細菌Porphyromonas gingivalisは強力なプロテアーゼであるジンジパインを産生・分泌する。ジンジパインにはArg-gingipain (Rgp)とLys-gingipain (Kgp)の2種類あり、それらの遺伝子や機能については多くの知見が得られているが、これらのタンパクの菌体外への輸送・分泌機構はほとんど解明されていない。 私たちはジンジパインの菌体外への輸送・分泌機構に異常を示す変異株を分離し、その変異遺伝子porTを同定していた。P. gingivalisの遺伝子のもっとも類似性のあるorthologは近縁種であるBacteroides fragilisなどに見つかることが多いが、porT遺伝子についてはBacteroidesには存在せず、Phylum Bacteroidetes中の少し離れた菌種であるCytophaga hutchinsoniiやFlavobacterium johnsoniaeに見つかる。そこでP.gingivalisの遺伝子でC. hutchinsoniiにはorthologが存在するが、Bacteroides種のいずれかにはないもの、67遺伝子(porTを含む)を同定し、その内の37遺伝子の変異株を作製したところ、11遺伝子の変異株がジンジパインの輸送・分泌機構に異常を示した。そのなかにC. hutchinsoniiやF. johnsoniaeの滑走運動に関わる遺伝子群のorthologが含まれていた。 そこでF. johnsoniaeのporT orthologの変異株を作製したところ、その変異株は滑走運動に異常を示した。今回、同定されたジンジパイン輸送・分泌機構に関与するタンパクはいままでに報告のある輸送・分泌機構に含まれるタンパクとは類似性がないものであり、新規のタンパク輸送・分泌機構を構成しているものと考えられる。
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