2008 Fiscal Year Annual Research Report
黒海地域の国際関係-4次元分析による学際的総合研究
Project/Area Number |
20252005
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
六鹿 茂夫 University of Shizuoka, 国際関係学研究科, 教授 (10248817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 陽子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (30348841)
上垣 彰 西南学院大学, 経済学部, 教授 (70176577)
小久保 康之 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60221959)
吉川 元 上智大学, 外国語学部, 教授 (50153143)
梅本 哲也 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (10193947)
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Keywords | 黒海国際関係 / 黒海協力 / 広域ヨーロッパ / GUAM / 凍結された紛争 |
Research Abstract |
7月に研究会を開催し、黒海地域が一つのまとまりある地域として成立しているのかどうかについて、以下なる分析を進めることとした。歴史班は、1)黒海をめぐるヒト、物、カネ、情報の流れ、2)大国間の覇権争い、3)周辺国の対黒海観から、地域エンティティとしての黒海地域の存在を再検討する。経済班は、1)地域経済機構である黒海経済会議(BSEC)と、エネルギー、労働移動、犯罪等をめぐる諸関係、特にグローバル経済における黒海地域の経済の位置づけ、2)黒海地域と他地域との比較、3)比較経済学の手法による域内国家間の経済関係、特にロシアートルコ関係について究明する。域内・域外国際関係班は、1)地域の重要問題(エネルギー輸送、「凍結された紛争」、民主化、米露軍事競争)、2)EU、NATO、アメリカと黒海地域との関わり、3)OSCEの価値観の影響および民主化におけるNGOの役割,4)グローバル・ポリティクスにおける黒海の位置づけを行う。 同方針に則って研究を行った結果、黒海地域を、歴史的、経済的、政治的に「強固に結びついた一つの固有の地域」として捉えることは難しいものの、それでも黒海地域を一つの地域として捉えることは可能であるし、意義もあるとの結論を得た。それは、第一に、黒海地域が冷戦時代の分断状況を克服して、経済、文化、NGO、地域機構などを通じて、黒海地域協力を推進し始めたこと、第二に、欧州、ユーラシア、中東三地域の周辺部分に位置するが故に殆ど注目されることのなかった黒海地域が、EU/NATO拡大など広域ヨーロッパの地政学的変動を受けてにわかに戦略的重要性を増し、これら三地域のハブ(中心軸)へと変貌を遂げたこと、そして第三に、2004年春のEU/NATOの東方拡大の結果、旧ソ連西部地域すなわちWNISおよび南コーカサスに「力の真空」状態ができあがり、黒海地域をめぐって欧米とロシアが対立を深めたことによる。
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Research Products
(31 results)