2008 Fiscal Year Annual Research Report
北方森林生態系における窒素ミッシングリングの完全解明と窒素動態の評価
Project/Area Number |
20255002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋床 泰之 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (40281795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原口 昭 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (50271630)
小池 孝良 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10270919)
波多野 隆介 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40156344)
玉井 裕 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (50281796)
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Keywords | 窒素固定 / 脱窒 / 永久凍土帯 / 窒素収支バランス / リン・窒素バランス / ハンノキ / ミズゴケ湿地林 / 林床被覆植物 |
Research Abstract |
東シベリア・Viluy52kmポイントで得た微生物群集を用い、窒素固定能力を最大限に発揮できる諸条件について検討し、現地土壌に近い低温、低炭素源、弱酸性、かつバイオフィルムを再現するジェランガム中で微生物群集の能力が最も高まることを明らかにした。また、2008年8月に現地Nelegel観測ステーション付近のバルク土壌で、ヤクーツク近郊のカラマツ林で土壌の窒素固定速度をアセチレン還元法によって測定した。その結果、O層の窒素固定速度は地点間差があり、-5〜980 μgN m-2 h-1であった。鉱質土層の窒素固定速度は0層よりも小さかったが、エチレン吸収による過小評価も考えられた。一方、フィンランドの湿性アカマツ林では、北方湿地生態系土壌の酸化還元環境を評価し、土壌微生物活性との関連について考察した。その結果、土壌表層の有機物蓄積が多いほど、また地下水位が高いほど土壌が還元的になることから、好気性微生物による有機物分解速度が高く、土壌水分含量が高いほど土壌の還元性が高まることがわかった。還元的環境下ではリンなど不溶性の栄養塩の可溶化が進み、これが、リン-窒素バランスを通じて土壌微生物の窒素代謝に影響している可能性が示唆された。ハンノキについているフランキア菌根菌を分離し、これを東シベリア細菌群週で用いた条件下でアセチレン還元活性にかけたが活性がほとんど観察されず、ハンノキの根あるいはミズゴケなど何かしらの補助要因の存在が強く示唆された。ハンノキ属に関しては、環境変動に対する応答についての研究成果を「第15回国際ハンノキ属に関する研究集会」にて発表した。また、北海道の樹種を中心に、環境変動に対する北方林構成樹種の環境応答、特に生産量と窒素シンクについて生態生理学レベルで解明した。
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Research Products
(6 results)