Research Abstract |
22年度の成果 海外調査:6月21日~7月4日に,エジプトを訪問し,カイロ大学のAhmed Hammed Hassan El Desoky博士の協力を得て,北部の地中海沿岸,カイロ市内の植物園などで調査し,Ephedra aphylla,E.pachycladaなどを採集した。帰国後の研究で,E.pachycladaはDNA解析により独立種として確認されるとともに,従来報告されてきたネパール産E.pachydadaについては本種ではなく,E.gerardianaとE.intermediaとの雑種起源であることが確証された(植物研究雑誌に投稿中)。また,化学的研究により,E.aphyllaはエフェドリン型アルカロイドを含有しないことが確認された。次いで,7月18日~7月30日に中国の内蒙古自治区を訪問し,E.sinica,E.intermedia,E.przewarskiiなどの生育状況を調査した。本研究調査の1目的としてE.sinicaとE.intermediaの分布境界を明確にすることがあり,本件については1月24日に北京の中国科学院植物研究所の所蔵標本をも調査したが,現時点では明確な結論は得られておらず,継続して調査する必要がある。また,本来ステップと沙漠で棲み分けているはずのE.sinicaとE.przewarskiiが同所的に生育する興味深い場所が見つかり,現在含有アルカロイドなどを詳細に検討中である。 その他:これまでの調査でマオウ属植物中のアルカロイド含量は量的にも質的にも水分など生育環境に大きく影響を受けていることが明らかになったことから,この現象を実験科学的に証明するために本学薬用植物において栽培実験を始めた。実験には多数の同種株やクローン株を必要とするため,種子生産法や挿し木法による増殖研究を行った結果,これまで野外では結実しなかったが,ハウス内で栽培することにより大量の発芽可能種子が得られることが明らかになった。また,これまで困難であった草質茎の挿し木では,直径が太い茎が有利であることなどが明らかになった(一部を日本薬学会総会で発表)。
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