2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300076
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小澤 賢司 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30204192)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 悠 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (60111746)
深澤 瑞也 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 講師 (80252039)
今村 俊一 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員/非常勤講師 (20232613)
|
Keywords | 大脳皮質第一次聴覚野(Al野) / 一過性反応細胞 / 持続反応細胞 / 聴覚機能モデル / 時間領域モデル / 補聴システム / 聴覚診断システム / シャント音 |
Research Abstract |
1. 大脳皮質第一次聴覚野(Al野)における生理学的測定による聴覚感性の源の探求 覚醒状態のネコにおいてAl野から単一神経活動電位を細胞外記録し,純音刺激の音圧,振幅増加率,振幅増加時間に対する反応を調べた.一過性反応細胞は刺激スロープに逆比例した短い音圧積分時間を持ち,積分終了時における刺激音圧に応じた一過性最大発火頻度を示した.持続反応細胞は定常振幅刺激への反応から予想される発火頻度を,遅い時期の刺激スロープにおいて持続性に示した.ゆえにAlには開始刺激スロープを好む一過性反応と,遅い時期のスロープを好む持続性反応の2種類の反応が存在することが明らかになった.これは,音の立ち上がりの最初のスロープと後の音圧が独立して情報処理され音の大きさ知覚に貢献することを示唆する. 2. Al野における生理学応答をもたらす聴覚末梢-中枢系の情報工学的モデル化 聴覚経路のうち末梢系(内有毛細胞,1次聴神経)に関して,時間領域モデルを計算機上にプログラムとして実装した.また,Al野までの中継核(蝸牛核,下丘,内側膝状体)について前段からのパルス列を受け,後シナプス電位を発生させてパルス列を出力する機能モデルを設計した. 3. 聴覚モデルに基づく聴覚診断システム・補聴システムの開発 (1) 補聴システムに関して:テレビの再生音や離れた所から話しかけられた声の聞こえに補聴器ユーザの不満が多いこと,音声の聞き取り検査では低音量で子音[k][s][h]行,母音[e][i]列の明瞭度が低いことを確認した.また集積回路化のためにアルゴリズム最適化を行い,このアルゴリズムを声調変化している母音に適用して特徴抽出を行うことを検討した. (2) 聴覚診断システムに関して:狭窄血管の拡張手術の前後に血流音を採取し,その音響的特徴を基に狭窄音を複数のグループに分類した.また血管造影画像と照合して,その有効性を確認した.
|