2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の分化と生存維持に対するBRINPファミリータンパク質の生理機能解明
Project/Area Number |
20300126
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
松岡 一郎 Matsuyama University, 薬学部, 教授 (40157269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 敏明 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (20170186)
小林 三和子 松山大学, 薬学部, 助教 (30396329)
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Keywords | 神経疾患 / 細胞周期 / がん抑制遺伝子 / 遺伝子欠損マウス / BRINPファミリー / ES細胞 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
我々が同定したBRINPファミリーは,神経系特異的な新規のがん抑制遺伝子である.本研究ではノックアウトマウスやタンパク質機能解析を通じてBRINPファミリーの生理機能と病態における役割を解明することを目的としている.本年度は,BRINPファミリーの遺伝子欠損マウスの作成を継続すると共に,既に作成されたBRINP1欠損マウスの行動解析を行い,以下の結果を得た.さらに各ファミリータンパク質の発現・機能解析に関して,以下の成果を得た. 1 BRINP1遺伝子Exon8ヘテロ欠損マウスの交配により得られたホモ欠損マウスは,見かけ上正常に発達して,生殖能力を有していた.このホモ欠損マウスの行動上の特徴を解析した結果,きわめて特徴的な表現型が見いだされた.すなわち,感覚能力や運動能力は正常であるが,落ち着きがなく,極めて多動性であった.また,他の個体に対する興味等,社会的行動が欠落していた.さらにこのマウスは忍耐力に欠けており,あきらめが早い傾向が見られた,これらの結果より、BRINP1欠損マウスは、ADHD(注意欠陥性多動障害)等の精神疾患の発症メカニズムを解明する上で,重要なモデルマウスになることが期待される(論文作成中). 2 マウスES細胞より誘導・樹立された神経幹細胞に対して,各BRINP遺伝子の発現解析を行ったところ,各BRINPは、ES細胞には発現しておらず,神経幹細胞における発現も低レベルであるが,神経幹細胞から神経細胞への分化に応じて各BRINPの発現が顕著に誘導されることが見いだされた.さらに神経幹細胞に強制発現させた各BRINPは神経幹細胞の細胞周期移行をG1→Sにおいて顕著に抑制することが見いだされた.すなわち,BRINPは正常な神経系の発生過程に於いて終末分化した神経細胞の分裂を抑制する機能を有すると考えられる(論文作成中).
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