2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト心筋細胞の興奮収縮連関制御における機械的負荷の役割
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20300159
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
入部 玄太郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90284885)
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Keywords | 機械刺激 / 興奮収縮連関 / カルシムハンドリング / 機械電気帰還現象 / 機械電気相互作用 / カルシウムスパーク |
Research Abstract |
前年度までにラット単離心筋細胞において伸展刺激によりカルシウムスパーク(筋小胞体のカルシウム放出チャネルであるリアノジン受容体からの自発的なカルシウム放出現象)が直ちに増加することを明らかにした。この現象は細胞骨格である微小管の破壊によって抑制されたことから、細胞骨格による細胞内のカルシウムハンドリング関連小器官への外力伝達がこの現象に密接な関わりがあるものと思われた。機械負荷に対する興奮収縮連関の反応に細胞骨格がどのように影響しているかをさらに詳細に検討するためにmdxマウス(細胞膜と細胞骨格を連結する蛋白であるジストロフィンが欠損している)を用いて、同様の単離心筋細胞の伸展負荷実験を行った。生後21目目のmdxマウスのカルシウムハンドリング関連蛋白の発現量はワイルドタイプと違いがないことが分かっているため、これを用いた。結果、伸展刺激によるカルシウムスパークの増加はmdx群で増加程度が低い傾向があった。これらの結果から、細胞膜と細胞骨格の連結がないために伸展による細胞内小器官への外力の伝達が減弱し、スパークの増加程度がやや低くなったものと思われ、微小管などの細胞骨格そのものだけでなく、それも含めた力伝達の物理的構造が重要であることが明らかとなった。
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