2009 Fiscal Year Annual Research Report
冠循環・心臓メカニクス連関:分子進化から心機能、心不全発症機構までの医工学的解析
Project/Area Number |
20300160
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
毛利 聡 Kawasaki Medical School, 医学部, 教授 (00294413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 恵治 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40252233)
片野坂 友紀 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60432639)
中村 一文 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10335630)
宮坂 武寛 姫路獨協大学, 医療保健学部, 教授 (60308195)
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Keywords | 冠循環 / 心機能 / 拡張性 / 収縮性 / 可変弾性モデル / 心臓超音波 |
Research Abstract |
メカニクスから見た心臓のポンプ機能は収縮性と拡張性に大別される。収縮性については、これまで提唱された指標の中で最大弾性率(Maximum Elastance : Emax)が負荷非依存性、心筋酸素消費との高度な関連などの点で最も理論的で信頼できるものである。最大弾性率の他の特徴として、心筋重量を情報として含むことが挙げられる。我々は心肥大研究を進める上で、拡張機能についても心筋重量や心室形態の情報を含む指標が必要と考えた。そこでカテーテル検査による左心室内圧と三次元エコーによる左心室容積計測及び心筋容積計測を行い、バルーンカテーテル拡張による下大静脈閉塞中の左心室拡張期末圧-容積関係を評価する方法論を確立した。これにより、これまでに提唱された超音波診断法や左心室圧降下時定数などによる拡張機能指標では把握・評価出来なかった拡張不全の病態を可変弾性モデルの視点から明らかにすることが期待出来る。 また、心室形態を規定する分子の候補としてジストログリカンの糖鎖負荷に関与する因子や非選択的カチオンチャネルなどの遺伝子操作マウスを作成し、形態を含めた心臓のポンプ機能(収縮性・拡張性)の変化を検討した。これらのモデルマウスではマクロレベルでの心臓のポンプ機能や心室形態の変化を生じ、細胞レベルではカルシウムハンドリングに関連する細胞内小器官や細胞膜構造の形成に異常があることが明らかになった。また、伸展刺激を感受する候補分子であるカルシウムトランスポータの時間制御可能な心臓特異的強発現マウスを作製し、心肥大を惹起することが明らかになった。このトランスポータは心筋細胞からカルシウムを排出しているが、強発現により他のカルシウム制御タンパクあるいは細胞内小器官に影響して肥大の分子メカニズムを動かしていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)