2010 Fiscal Year Annual Research Report
冠循環・心臓メカニクス連関:分子進化から心機能、心不全発症機構までの医工学的解析
Project/Area Number |
20300160
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野坂 由紀 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60432639)
成瀬 恵治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40252233)
中村 一文 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (10335630)
宮坂 武寛 姫路獨協大学, 医療保健学部, 教授 (60308195)
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Keywords | 心室形熊 / 収縮性 / 拡張性 / 心肥大 / カルシウム / 心不全 / Na^+-Ca^<2+>交換体 |
Research Abstract |
左心室形態制御におけるCa^<2+>輸送体の役割を明らかにするためにNa^+/Ca^<2+>交換体を心臓特異的に、またドキシサイクリンによって発現誘導するモデルマウスを作成した。心室におけるNa^+-Ca^<2+>交換体はタンパクレベルで発現量が3倍であった。心筋細胞に存在する他のCa^<2+>輸送体(Na^+/K^+ ATPase、 L型Ca^<2+>チャネル、リアノジン受容体、SERCA)の発現量は変化を認めなかった。また、筋小胞体へのCa^<2+>取り込みを抑制するフォスフォランバンはCaMKII依存性のリン酸化が亢進しており、筋小胞体へのCa^<2+>貯蔵量が増加していると考えられた。CaMKIIによるフォスフォランバンリン酸化を抑制する脱リン酸化酵素を抑制するリン酸化AKTも増加していた。心臓レベルでの変化は、心・体重比が2週間で約2倍となり、著明な心肥大が認められた。超音波検査では、心臓の収縮性を表す駆出率、左室拡張末期径には対照とNa^+/Ca^<2+>交換体高発現マウスに差を認めなかった。一方、左心室後壁は1.0mmから1.4mmと壁厚増加を認めた。その結果、左心室への血液流入速度は82cm/sから64cm/sに低下し、減衰時間は43msから61msへと増加して拡張機能の低下が示唆された。Na^+/Ca^<2+>交換体は心筋細胞における唯一のCa^<2+>排出系であるが、その発現量増加は長期的には心肥大を来して拡張機能を低下させた。心臓の肥大形式は内腔径が変化せず壁厚が増加する求心的肥大であった。臨床的報告によると、不全心筋ではNa^+/Ca^<2+>交換体が増加している事が報告されており、心不全におけるNa^+-Ca^<2+>交換体の役割を検討することとした。大動脈縮窄による心不全モデルに対してNa^+/Ca^<2+>交換体発現を誘導し、心不全の伸展を抑制できるか確認している。
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Research Products
(11 results)