2010 Fiscal Year Annual Research Report
習慣的身体活動はホモシステイン分解酵素遺伝子変異に伴う動脈硬化を予防するか?
Project/Area Number |
20300231
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
宮地 元彦 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康増進プログラム, 運動ガイドラインプロジェクトリーダー (60229870)
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Keywords | 習慣的身体活動 / ホモシステイン / 動脈硬化 / 遺伝子多型 / MTHFR |
Research Abstract |
ホモシステイン分解酵素遺伝子(MTHFR)多型の一つである677C→Tの変異が、血中のホモシスティンや動脈硬化のサロゲート指標である動脈のスティフネスに及ぼす影響を766名のデータを用いて横断的に検討した。 1)MTHFR677TT型の者はホモシステイン濃度ならびに動脈スティフネスが高値を示した。 2)MTHFR677TT型の者のうち、6メッツ以上の高強度身体活動量が多い者ならびに3メッツ未満の低強度身体活動量が少ない者では、血中ホモシステイン濃度が有意に高い値を示した。 3)MTHFR677TT型の者のホモシステイン濃度は、食事による葉酸摂取量が食事摂取基準で定められた推定平均必要量を満たす者では少ない者より有意に低値を示した。 4)全身持久力の指標である最大酸素摂取量が高い者と低い者で比較したところ、ホモシステイン濃度は体力の違いによる差は見られなかったが、動脈スティフネスは体力の高い者ではTT型の遺伝子多型の者でもCC型やCT型の者と有意差がなかった。すなわち、持久的体力の高い者ではMTHFR677遺伝子の変異による動脈スティフネス増加が抑制されていることが示唆された。 これらの結果は、循環器疾患のリスクは遺伝の影響を強く受ける一方で、環境要因の改善により修飾されることを示唆している。これらの研究成果は、今後縦断的な介入研究により検討される必要がある。
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