2008 Fiscal Year Annual Research Report
和紙の物理的分別手法の確立と歴史学的データベース化の研究
Project/Area Number |
20300287
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
保立 道久 The University of Tokyo, 史料編纂所, 教授 (70092327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 励夫 九州国立博物館, 学芸部・保存修復室, 室長 (00416554)
江前 敏晴 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40203640)
永村 眞 日本女子大学, 文学部, 教授 (40107470)
久留島 典子 東京大学, 史料編纂所, 教授 (70143534)
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Keywords | 和紙 / 材質分析 / 文化財修復 / 古文書 / 東アジアの伝統製紙 / 楮紙 / 繊維配向性 / 東大寺文書 |
Research Abstract |
研究目的は、歴史学と製紙科学の両方の立場から和紙の材質の研究を深め、歴史史料に使用された和紙の材質調査マニュアルとそれに対応した和紙材質記録システムを作成し、時代的相違や分類の境界例に注意しつつ、楮紙材質の三大分類およびその細分類の手法マニュアルを作成し、さらに和紙の制作技法と保存科学の研究にも資すことにある。本年度は、醍醐寺の開発にかかり、現在、東大寺・文化庁などに利用が拡大しているPCソフト「文化財統合管理システム」に和紙分析記録システムを付加し、改善した。当初同システムの本体には手をつけない予定であったが、とくに開発者の了解をえて必要な予算を繰り越し、分類番号体系を改善し、和紙分析に必須の顕微鏡・透過光などの画像登録を可能にした。なお、史料編纂所において修補中の『愚昧記』「東大寺文書」などの文書について厚さ・密度・色彩・抄紙痕跡などの調査・記録を行った。このうち、とくに繊維配向性分析・色度・光沢度の計測などは、これまで試みのない新しい分野であり、料紙分析とその計測方法の改善について相当の成果をえた。とくに繭紙類の細分類基準について成果があったので、それらの結果を分類表として早急に公開する予定である。また古文書の内容の翻刻の問題については、古文書料紙の顕微鏡や透過光画像による光学的分析が、文書の欠損部分・裏打ち部分などの解読に大きな意味をもっていることに関するデータを蓄積した。なお、関係の諸科研とともに、2008年12月に、研究集会を開催し、さらに代表の保立は、韓国の製紙科学学会の研究集会に参加して日韓の古紙の共通性と相違性についての報告を行った。
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Research Products
(13 results)