2011 Fiscal Year Annual Research Report
多極化する現象学の新世代組織形成と連動した「間文化現象学」の研究
Project/Area Number |
20320007
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
谷 徹 立命館大学, 文学部, 教授 (40188371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 哲也 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20205727)
村井 則夫 明星大学, 人文学部, 准教授 (20366917)
浜渦 辰二 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70218527)
田口 茂 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (50287950)
吉川 孝 高知県立大学, 文化学部, 講師 (20453219)
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Keywords | 間文化性 / 現象学 / 精神 / 身体 / 共存 / 共-創造性 / 他者 / 倫理 |
Research Abstract |
本年度の重点研究テーマは「共存」であり、これの可能性を間文化現象学の視座から解明することが試みられた。この課題をめぐって、5~6月にリトアニアのGidere Smitiene氏、7月に台湾の廖欽彬氏をそれぞれ招き、前者に関して和辻哲郎の哲学を中心に、後者に関しては田辺元の哲学を中心にして、間文化性の構造を解明するためのワークショップを開催した。9月には、メンバーの3名(谷、青柳、小林)がスペイン・セゴヴィアで開催された現象学に関する国際会議に参加し、それぞれ基調講演、研究発表を行った。これらは、海外の研究者との、まさに間文化的な交流をさらに促進することにもなった。10月には、武内大氏(東洋大学)を招き、講演会を開催した。11月には、3月に予定されていながら震災によって延期された「精神」を重点研究テーマとするシンポジウムと、本年度の重点研究テーマ「共存」のシンポジウムを合同させ、「第3回&第4回間文化現象学シンポジウム」として開催した。香港の劉国英氏、アメリカのLanai Rodemeyer氏、オーストリアのGeorg Stenger氏を招待し、メンバーの発表者とともに、研究討議を行い、交流を進めた。多くの成果が得られたが、とりわけStenger氏の提唱した、諸文化の「共-創造性」の概念は今後の研究展開のための大きな貢献となった。さらに、このシンポジウムで十分に展開されなかった諸問題に光を当てるべく、翌年3月に間文化現象学ワークショップを開催し、5名のメンバーが研究発表を行い、他のメンバーならびに一般参加者と研究討議を繰り広げた。これらをつうじて、昨年度・本年度の重点研究テーマをめぐる大きな成果をあげることができた。 また、年度末には、プロジェクト開始から3年間の研究成果をまとめた科研費報告書(2008年度~2010年度)を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定された研究計画に関しては、東日本大震災の影響で平成22年度の重点研究テーマをめぐるシンポジウムの開催が延期され、その意味では計画実施が遅れた。しかし、このシンポジウムも本年度に、本年度のテーマのシンポジウムと合同で開催された。しかも、震災は新たな角度から間文化性を捉え直す試みにもつながった。その意味で、当初の計画以上とも言える展開を含む。それゆえ、全体として(2)と自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の重点研究テーマは「時間」であるが、「間文化性」という主題からすれば当然ながら、当初からそこには「時代」あるいは「歴史」の意味での時間も含意されていた。しかし、東日本大震災は、自然と文化の問題を、災害(わざはひ)という観点から捉え直すことを要求している。ただし、これは研究計画の変更というより、その内的拡大・充実であり、ある意味では研究の推進力を強めるものともなるだろう。
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Research Products
(64 results)