2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代宗教性の類型化と受容可能性-体験談のデータベースとモニタリング調査-
Project/Area Number |
20320015
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
弓山 達也 大正大学, 人間学部, 教授 (40311998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星川 啓慈 大正大学, 文学部, 教授 (10173585)
島薗 進 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20143620)
渡辺 光一 関東学院大学, 経済学部, 教授 (30329205)
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Keywords | 体験談 / データベース / モニタリング調査 / 宗教性 / 受容可能性 |
Research Abstract |
1. 宗教コンセプトの日米比較 前年度の日米調査(100項目の宗教概念について日米の回答者に賛成か反対かを尋ねる)の分析を行い、日米共通で信仰者のほうが非信仰者よりも賛成する共通概念が90も検出され、日米共通で生命主義的救済観が信じられているなどの結果を得た。さらに(1)人格神への信仰、(2)教団宗教的規範、(3)超越への働き掛け、(4)大生命と魂、(5)現世利益、(6)感情の制御というお互いに相関する6つの共通概念群からなる日米共通の構造が検出された。 これら6因子は、さらに実践論的・顕教的か存在論的・密教的かという2つの独立したメタ因子に収斂し、前者の実践論的・顕教的なメタ因子のみが、信仰者の幸福度に対してプラスの効果を持つ。また、神に関する概念と幸福度の関係を調べると、人格的な神概念は幸福度にプラスの効果を、非人格(原理)的な神概念はマイナスの効果を持つことが判った。 2. 宗教思想の構造的・体系的理解 宗教思想を構造的・体系的に把握しつつこれを調査によって精緻化するための第一歩として、宗教思想のコンセプト要素を研究書・論文と啓蒙的概説書をもとに収集し、研究者の視点と市井の視点を統合しつつデータベース上に再構築して思想構造のツリー状表現を描出した。その際、フリーソフトウェアのマインドマップ作成ツールであるFreeMindで読み込み可能な形式でデータを出力できるようにし、このツリー構造を可視化することに成功した。 3.多元主義と受容度 宗教体験談の主要要素を人為的に組み合わせた単文の受容度に関する調査を日米で実施し、あわせて回答者には多元性に関するアンケートを行い、両者の関係について現在、分析中であり、今後の研究に引き継いでいきたい。
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