2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20320058
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
綾野 誠紀 Mie University, 人文学部, 教授 (00222703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉崎 鉱司 三重大学, 人文学部, 准教授 (60362331)
大津 由紀雄 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (80100410)
山本 哲朗 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00127002)
西村 幸香 三重大学, 大学院・医学系研究科, リサーチアソシエイト (60456738)
小嶋 祥三 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (70027499)
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Keywords | 言語学 / 生得的言語知識 / 統語的構造条件 / 母語獲得 / 脳科学 / 光トポグラフィー |
Research Abstract |
現代言語理論において中心的な役割を果たしている生得的な構造条件であるc-commandに関し、日本語を獲得中の幼児(2-5歳児)を対象に、言語心理学的手法(心理実験と自然発話分析)及び脳科学的手法を用いて、心理レベルと脳レベルの両面から、その脳内における所在と発達過程を明らかにすることが本研究の目的である。生得的な構造条件であるc-commandとは、抽象的な階層性を有する文構造に基づいて定義され、様々な言語の多様な文法現象に関わっている重要な性質であると考えられている。例えば、日本語に関しては、数量子浮遊((i)大学が教員を2名採用した.(ii)*大学が教員から2名寄付を受けた.)、照応詞束縛((i)太郎が自分の絵を見つけた.[太郎=自分](ii)太郎の弟が自分の絵を見つけた.[太郎≠自分])等の言語現象の説明において中心的な役割を担っている。 以上の研究目的に基づき、平成20年度は、c-commandが関与する言語現象を用いた言語刺激パラダイムについて検討し、平成21年度以降に実施予定である幼児を対象とした実験の前段階として、成人を対象とした予備実験を行い、その結果について考察を加えた。具体的には、日本語の数量子浮遊現象を言語刺激文として採用することとし、言語理論及び実験を行うにあたっての実際上の問題という双方の観点から、言語刺激パラダイムの妥当性について検討した。その結果、平成20年度後半には、成人被験者を対象として、非侵襲的な機能脳画像研究手法であるNIRSを用いた調査を実施することができた。また、平成21年度早々には成果を発表できるように、実験結果について詳細な検討を行った。
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