2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20320098
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浪川 健治 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50312781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 信平 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40173520)
楠木 賢道 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50234430)
山下 須美礼 筑波大学, 人文社会系, 助教 (90523267)
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Keywords | 北方観 / 開港 / 通辞 / 近代移行期 / 漢訳洋書 |
Research Abstract |
研究代表者・分担者・協力者で活発に議論し,北東北近世人の中国情報の摂取⇒北方観・北方認識の形成一や生活者による内在化のプロセスとメカニズムを提示するという研究成果を得た。科研「近世日本社会における中国情報の摂取と北方観の形成」は、集積したデータを基にして研究の体系化のうえに研究を推進したものであり、蝦夷地における通辞の果たした文化的な役割の外、北方の緊張の高まりとともに派遣された弘前・盛岡藩をはじめとする藩政資料や藩士に関わる資料の解明に努め、中国を介した東アジア理解から安政二年以降の欧米を軸とする近代移行期の北方世界に対する認識への変化がグローバルな世界像の一端を形成するものであることを明確化した また、長崎から輸入される漢籍によって得た中国情報と,蝦夷地や蝦夷地を通して漠然と知る東北アジアや18世紀後半来活発な動きを示すロシアによって,どのような北方認識・北方観が東北諸藩で形成されたか,そしてそれがどのように生活者のものとなっていったかを、本年度の調査の主軸として設定した。加えて文書類4000点あまり,和漢書・洋書6000点あまりを所蔵する松浦史料博物館および周辺地域のフィールドワークを行い、かつての国際貿易港であり,東シナ海を通じて清朝,壱岐対馬を介して朝鮮王朝と向き合う平戸藩の知的世界としての対外認識・中国観・朝鮮王朝観と比較対照することが可能となった。近世初期から前期に至る対外関係の展開と地域形成という立体的な像を具体化し得たことは本研究の最後を締めくくるにあたっての大きな成果として捉えられる。
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Research Products
(6 results)