2012 Fiscal Year Annual Research Report
顕密・真宗聖教による中世仏教の統合的な教学構造と「仏法」観に関する研究
Project/Area Number |
20320107
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
永村 眞 日本女子大学, 文学部, 教授 (40107470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 雅子 日本女子大学, 文学部, 研究員 (20440084)
高山 有紀 新島学園短期大学, その他部局等, 准教授 (40279568)
岡本 綾乃(道津綾乃) 神奈川県立金沢文庫, その他部局等, 研究員 (40443410)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | 仏法 / 真言聖教 / 三論聖教 / 法流 / 宗乗 / 余乗 / 論義草 / 綱要書 |
Research Abstract |
本年度は京都市醍醐寺、奈良市東大寺、河内長野市金剛寺、横浜市称名寺(金沢文庫)において調査を実施した。今年度は主に真言聖教と三論宗聖教に集中して調査を行ったが、金剛寺聖教において、醍醐寺から根来寺、根来寺から金剛寺へという真言聖教、とりわけ醍醐寺三宝院の正流としての「報恩院」流が高い評価のもとで、伝授・書写された史実を確認した。また醍醐寺所蔵にかかる明恵撰「梵網戒大事」が、「武州六浦庄称名寺」よりもたらされた事実から、畿内・東国をわたる密教伝授の実態、特に東国から畿内への流れを知ることができる。この広域にわたる伝授の広がりが、如何に各地域における特徴 的な「仏法」を形成したか重要な検討課題となる。また東大寺における三論聖教の調査において、「二蔵判教」という三論に相応の科文とは別に、東大寺の論義に相応しい「執金剛神」の存在から、宗教学の個性的な展開を見ることができよう。聖教調査の現場から、中世「仏法」の相互交流という一面とともに、その個性化という一面を併せて確認することができた。この両面こそ、「宗」という枠におさまることのない中世「仏法」の具体的な展開を示す。 今年度は史料整理に専念した鈴鹿市専照寺の宗乗・余乗の諸宗聖教について、特に南都に相承された華厳・法相等の諸宗聖教の内容を検討した。東大寺における華厳以下の聖教は、その過半が論義草であり、そこに古代から近世にわたる同寺の「仏法」受容と相承の具体的な姿が知られる。これに対し真宗寺院における余乗の聖教に、論義草は極めて少なく、むしろ教学の体系を叙述する綱要書が占める。ここに真宗における余乗諸宗を、相対化して受容しようとする「仏法」受容の姿勢が見られる。この余乗修学の姿勢によって、南都北嶺に相承された「仏法」は、論義という形態に偏することなく、近世を通して相承されたわけであり、ここに中世以来の「仏法」相承の実態が確認できる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 寺僧と聖2012
Author(s)
永村 眞
Organizer
南カリフォルニア大学日本中世史ワークショップ
Place of Presentation
南カリフォルニア大学
Year and Date
20120604-20120606
Invited
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