2008 Fiscal Year Annual Research Report
公証人制度の比較法的再定位 -法律専門職の過去・現在・未来
Project/Area Number |
20330002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 信夫 Kyoto University, 法学研究科, 教授 (40004171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 浩明 京都大学, 法学研究科, 教授 (60114568)
山本 克己 京都大学, 法学研究科, 教授 (20191398)
伊藤 孝夫 京都大学, 法学研究科, 教授 (50213046)
横山 美夏 京都大学, 法学研究科, 教授 (80200921)
佐久間 毅 京都大学, 法学研究科, 教授 (80215673)
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Keywords | 公証人 / 法曹 / 法曹養成 / 私的自治 / 法移植 / 比較法 / 証書 / 登記 |
Research Abstract |
本研究は、わが国における私的自治の真の意味での実現を図るための法的基盤としての公証人制度の充実・活用可能性を検討することを目的とする。平成20年度は、共時的分析として、わが国における公証人制度についての現状の正確な把握およびその問題点について、実定法グループが中心となって文献研究を行うとともに、法務省民事局の担当官を招いて研究会を行った。その結果、わが国においても、現在、相続のみならず取引の場面においても、慎重な真意の確認による紛争の予防、証拠の保存にかかる公証人への期待が高まっていることが確認された。その一方で、公証人の職務における文書保存につき制度的手当が不十分であること、公証人養成制度が確立していないことなど、わが国の公証制度の問題点が明確になった。また、同じく共時的分析として、昨年度は、フランス・ドイツ・イタリアの公証人制度について文献研究を行うとともに、イタリアにおける公証人制度の機能および公証人養成制度の調査を行った。その結果、イタリアにおける公証人は、取引の適法性を私的な第三者として監督する役割をも担っていること、そのためには高度の法教育が必要であるため、公証人の養成も司法官や弁護士以上に力が注がれていることがわかった。 もっとも、現在、法科大学院のなかにおかれている公証人養成コースについては、その評価が分かれており、その理由に、紛争予防を主たる目的とする公証人と、事後の紛争解決をその任務とする司法官などとでは職能に根本的な違いがあることが明らかとなった。フランスおよびドイツについては、昨年度は現地調査による実証にまで至らなかったが、フランスではイタリアと同様、司法官とは異なる高度の養成制度が確立しているのに対して、ドイツでは、公証人養成に特化した制度は発達しておらず、これは、公証人の役割とどの程度関係があるか、なお検証が必要であることが確認された。一方、歴史的分析については、その方向性をようやく見定める段階にあり、昨年度は必要な文献収集を行い、基礎的な知見の確立に努めた、本格的な研究は、予定通り、今年度以降となる。
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Research Products
(6 results)