2009 Fiscal Year Annual Research Report
公証人制度の比較法的再定位 ―法律専門職の過去・現在・未来
Project/Area Number |
20330002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 信夫 Kyoto University, 大学院・法学研究科, 教授 (40004171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 浩明 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60114568)
山本 克己 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20191398)
伊藤 孝夫 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50213046)
横山 美夏 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80200921)
佐久間 毅 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80215673)
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Keywords | 公証人 / 法曹 / 法曹養成 / 私的自治 / 法移植 / 比較法 / 証書 / 登記 |
Research Abstract |
本年度も、前年度に引き続き、日本における公証人制度の実態把握に務めると共に、その問題点の洗い出しを行う一方、外国における文献・面談調査も実行した。 まず、公証人制度の通時的な分析につき踏み込んだ調査が行われた。公証人制度は、中世以降、国王権力の強大化とともに、それを背後にして登場したとされてきただけでなく、古代ローマ社会における前駆についても528年の『勅法彙纂』第四巻第二一章第一七法文が最初とされてきた。しかし、当該法文の歴史的解釈だけでなく、さらにその前駆現象の存否につき、資・史料調査及び面談調査(平成22年2月・ローマ大学法学部クリフォ教授)によワ、前記法文は、歴史的には他の勅法とともに公にされた点を考慮すべきこと、また、公証人制度にっいてはさらに時代的に遡ることが可能であることが確認できた。なお、この調査は、平成21年1月及び3月に実施した公証人制度の現状調査の際には、充分に探究することができない点を補充するものであった。 また、共時的分析も継続した。このうち、フランスにおける公証人の職能に関する最近の法改正の動向に関する文献・面談調査(平成21年12月・国立工芸院パンショー准教授)の結果、公証人に固有の職域と弁護士も重複的に担いうる役割分担に関する同国の議論に関する知見を得た。と同時に、その内容は、わが国における公証人と他の専門職との役割分担を考察する際に有益であり、法改正の今後の進展及び背景にあるEU全体の動向をさらに調査する必要性が認められた。 さらに、会社法上の公証人の役割にっいての文献調査も進められた。ドイツにおいては、定款作成の場面以外にも、関係者の意思表示に一定の効果を認める場合に公正証書によるべきことが求められることがあるなど、我が国より公証人が果たすべき役割が多いが、このような制度が紛争予防にどの程度役に立ちうるのかにつき、さらなる調査の必要性が認められた。
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Research Products
(5 results)