2009 Fiscal Year Annual Research Report
労働法・社会保障法理論における「家族」と生活利益の再検討
Project/Area Number |
20330011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村中 孝史 Kyoto University, 大学院・法学研究科, 教授 (80210053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 健一郎 同志社大学, 司法研究科, 教授 (00025157)
水島 郁子 大阪大学, 法学部, 准教授 (90299123)
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Keywords | 労働法 / 社会保障法 / 労働者 / オーストリア / 生活 / 扶養 / 家族 / 内縁 |
Research Abstract |
平成21年度においては、労働法理論において「家族」がどのように位置づけられているかを検討した。具体的には、まず、労働立法が「家族」問題をどのように認識し、これにどのように対応したのかを明らかにする作業を行った。また、これに加えて、判例が、日本の家族の変容にどのように対応してきたのかを明らかにする作業も開始した。この結果、裁判例は、従前、労働者が家族の一員であるという側面を、労使間の利害調整の場面で考慮することはほとんどなかったが、近時においては、配転命令をめぐる紛争において、この側面に対する考慮が見られるようになったことが明らかとなった。他方、解雇紛争などにおいては、なお、そのような配慮を見出すことはできなかった。こうした研究成果に基づき、ウィーン大学との間で比較法研究を行った。オーストリアにおいては、労働者が家族の一員であるという側面に着目した立法が数多く見られ、我が国においては見られない制度もいくつか存在した。たとえば家族ホスピス休暇や、子供の結婚式、卒業式などで休業した場合の賃金継続支払いなどである。これに加えて、労働時間が短く、長期休暇が確実に取得されている点などを考慮すると、オーストリアの労働者は、我が国の労働者よりも「家族」の一員として過ごす時間が長いこと、そして「家族」の一員としてより多くの役割を担っていることが理解できた。我が国においては少子化問題を契機として「家族」への関心が高まったが、オーストリアにおける状況は少子化とは直接関係ないものであり、両国における「家族」観、あるいは「家族」の社会的機能の違いが大きな意味をもっていると思われるため、次年度以降に関しては、この点も含めて引き続き研究を行うこととした。
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Research Products
(3 results)