2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20330030
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
遠藤 乾 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (00281775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 民雄 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90237412)
鈴木 一人 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (60334025)
臼井 陽一郎 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (90267451)
吉田 徹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (60431300)
元田 結花 学習院大学, 法学部, 教授 (20292807)
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Keywords | グローバル化 / グローバル・スタンダード / EU / 欧州連合 / ヨーロッパ統合 / 帝国 / 規制 / 標準 |
Research Abstract |
本研究は、規制帝国としてのEU(ヨーロッパ連合)を、その形成過程に遡り、現在の等身大の力を分析した。この研究は、グローバル化する現代世界にあって、世界標準と規制の設定が経済的競争力のみならず政治的影響力を左右するという認識に基づき、この分野で米国と並ぶ力を持つEUの力の源泉を、歴史と現状の両面において解明しようとするものであった。これは同時に、これまでチームで取り組んできたヨーロッパ統合史の研究をさらに発展させ、従来の研究で軽視されてきた規制分野におけるEUの帝国的な権力の検討に接続させる新しい試みであったといえよう。このような問題意識に基づき、分担者がいずれかに関わり、その外延に多くの新たな研究上のパートナーを得る形で、2冊の大きな著作を公刊することができた。一つ目は、EUという規制体の複線的な史的形成を追跡した『複数のヨーロッパ』(板橋拓己との共編、北海道大学出版会、2010年、341頁)、もう一冊は、より現状分析に焦点を当て、グローバル化時代のEUの規制標準設定力を分析評価した『EUの規制力』(鈴木一人と共編、日本経済評論社、2012年、284頁)である。これにより、危機の向こう側にあるEUの規制分野での力の理解を進展させるとともに、とりわけ、政策ごとのEUの影響力に落差が見られることなどを手掛かりに、グローバル・スタンダードや規制が実際にどのように形成されているのかを具体的に解明することができたと考えられる。
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